浜松のお次は東京にひけをとらぬこの国、屈指の街、大阪!しかし一泊二日の強行旅程…。なんだかもったいない。
今回、大阪に来るにあたって僕には大きな楽しみがある。大阪で生活している僕の小学校時代のクラスメート、『かっちゃん』に20年以上ぶりに再会する事である。
かっちゃん〜僕に多大な影響を与えたクラスメート。僕はブラボーカンパニーでは『ジャッキー・チェンコント』なるものをやるくらいのジャッキー好きだが、ジャッキーの魅力を教えてくれたのが、このかっちゃんである。このかっちゃんと共にアクロバットを練習し、かっちゃんと共にブレイクダンスを練習した。かっちゃんがはまるものや、かっちゃんが勧めるものはなんの抵抗もなくすんなり興味を注いだ。それは確実に彼の人格に強く惹かれていたせいであろう。
大阪ど真ん中、梅田の駅そばの観覧車の下で待ち合わせる。週末土曜日、これから夜遊びしようと若い大阪っ子達がひしめきあってる。
上手く会えるだろうか。人の多さもそうだが、なによりも20年以上会っていないのだ。お互い目の前にいたとしても認識出来るだろうか。何せお互いの記憶はあどけない小学生のままなのである。電話で連絡を取り合う。
《もしもし、かっちゃん?観覧車の下に来たけんど、どこ?どこにおるが?》
《カマちゃん?俺もそこにおるよ…えーとね…俺は…あ!!カマちゃん、発見!多分、あれはカマちゃんや!》
《え!?どこ?どこにおるが?どこやろ……》
「よー!カマちゃん!」
「え!?」
まず疑った。目を疑った。時間を疑った。
「かっちゃん…?」
そのままである…まるで神はこの人には時間を与えなかったのか、と思うくらい25年前の彼がそこにいた。
今の彼が老けてないのか、当時の彼が早熟だったのか、僕には分からないし、そんな事はどうでもいい…まるでここは大阪梅田の繁華街ではなく高知市内の旭東小学校の校庭ではないのかと錯覚を覚える…。
僕は一瞬だが確かにタイムマシーンに乗った…。
「変わってないねぇ…」
タイムマシーンを降りた僕の第一声。
「カマちゃん、ちょっと変わったねぇ。背も伸びたし、外人になったねぇ。」
「あはは!この茶髪と口ヒゲは仕事!仕事!外人役やからね!背も高校ぐらいから伸びてね…。」
「東京で役者をやりゆうんやってね!?前からハーフみたいな顔しちょったけんど、ほんま!外人やんか!」
「旅先で入ったレストランで『英語のメニューをお持ちしましょうか?』と言われた事もあるよ!」
「あははは!ほんまに外人やん!」
かっちゃんは大阪で美容師をやってるという。そう言えば、かっちゃんのお母さんも美容師だ。お姉ちゃんも美容師だという。しかし美容師という仕事が彼に年齢を与えていない一つの要因なのだろうか。
「メシ、食べちゅう?とりあえずどっか入ろうか?なんでもええろ?と言うても僕は仕事場がミナミやき、北の梅田の街はよう分からんけど…」
「なんでもかまんよ!」
僕らは星の数ほどあるお店の中から一つの星を選んで入った。


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