「で、鎌倉さん、あの山に一人で行っちゃったんですか!?」
「はい…」
スタッフの一人が僕にそう話しかける。
「(スタッフさん)俺も進藤さん達と一緒に三人であの山、登りましたけど、地元の人が言うには登ると危ないから登っちゃダメなんですって!」
「(僕)登っちゃいましたねぇ…」
「(スタッフさん)ましてや一人では危ないんですって。」
「(僕)一人で登っちゃいましたね…」
「(スタッフさん)特に朝夕は危ないんですって。」
「(僕)朝、登っちゃいましたね…」
「(スタッフさん)朝夕は犬が出るって。」
「(僕)その犬に会っちゃいましたね…」
「(スタッフさん)パーフェクトじゃないっすか!?」
「(僕)パーフェクトですね…」
「(川村君)ワハハハハハッ!」
「(進藤君)まあ、鎌倉さん、無傷で良かったじゃないですか!俺ら三人で登った時もいろんなケモノに出会ってドラクエの冒険みたいでしたからねぇ!」
「(スタッフさん)でもさすがに野犬には会わなかったなぁ。」
「(進藤君)三人ならドラクエ、一人ならバイオハザードって訳ですか。」
「(川村君)ワーハハハハハ!」
「(僕)……………」
「(進藤君)でも良かったですよね。もしかしたらその猫の写メが鎌倉さんが残した最後の写真になってたかも知れない訳ですよね!」
「(川村君)ワーハハハハハハハ!」
「(僕)いや、でも一歩間違えればアレだよ!金田一耕介の『悪霊島』』に出て来たような、人の手をくわえた犬が実際に現れたかもしれないんですよっ!」
「(進藤君)まあ、その場合は鎌倉さんの手ではなく、鎌倉さんのメガネをくわえてるんでしょうなぁ!」
「(川村君)ワーハハハハハハハ…」
「(僕)お前ら………」


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