時々、おっといけない!と思う時がある。
段ボール小道具を褒められた時である。
僕は幼い頃からプラモデルが大好きだった。ガンダムは勿論の事、戦車、お城や、お寺、ウルトラマンやら北斗の拳やら、あらゆるものを造った。
ただのパーツにしかすぎないものが段々と頭になり、腕になり、足になりと形になっていくのが楽しかったのであろう。
『形』というものを造りあげていくのが元々好き、という点においては少なからずこんな僕にもクリエーターの魂が存在するのかもしれない。
現在その想いは段ボール小道具に注がれ、そのせいか僕の段ボール細工技術はそれなりのレベルには達したと自負している。
ブラボーを見に来てくれた客さんのみならず、プロの小道具さんや、美術さんもその出来の良さを認めてくれているらしい。気の遠くなるような手間隙と時間を懸けて造り上げた僕にとっては嬉しい限りである。
であるが………であるが………僕は役者志望である。『小道具』以上に『演技』を褒められなければならないのである。決して小道具が褒められるのは悪い事ではない。しかし最低でも褒められた『小道具』以上に『演技』が評価されねばならない。
しかし悲しいかな、今の僕は演技より小道具の腕前の方が上であろう。プロの美術さんが感心する程の段ボール細工と同じくらい演技の技術があれば…。プロの役者さんや監督、演出が感心するくらいの腕前があれば…なんて思うのである。
段ボールを切って貼る。また切って貼る。また切って貼りながら、なんとも言えぬ気持ちになる。

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