しばらくのオフを利用してDVDなんぞを何枚か借りてくる。ふと目にとまったのは仲代さん主演の『二百三高地』である。おそらく30年くらい前の作品であろう。みなさん歴史の時間でも学んだであろう日露戦争の映画である。
100年以上前、当時ロシアの軍港だった旅順(りょじゅん)を攻略する為、日本軍は旅順を攻撃出来る高台を求めて『二百三高地』と呼ばれる山をまず攻略しようと作戦を立てる。しかし日本軍の攻撃に備え、ロシア軍は難攻不落の恐ろしい要塞を築き上げ日本軍を待っていた。
『二百三高地』とは文字通り203メートルの高さの山である。そこにロシア軍は人間を殺戮する為のありとあらゆる仕掛けをほどこして日本軍を迎え撃つ。
大変な時代だったんだなぁ、なんて思えない。恐ろしい、気が狂った時代だったんだな、と戦慄する。
マシンガンや手榴弾が豊富に備えられコンクリートで固められた文字通り『鉄壁』の敵陣に『突撃』命令一つで突進していく。はげ山なので日本軍にとっては隠れる所も一切ない。もはや自殺行為に等しいのである。
この映画の中で数え切れないくらい叫ばれている
『突撃』
という命令。この言葉のなんと無情で残酷な事か。敵陣に強い一撃を与えて敵の体制が崩れかけた所に、今がチャンスと『突撃』をかけるなら、まだ理解のしようもあるかもしれない。しかし、『さあ!いらっしゃい』とばかりに鉄壁に囲まれてマシンガン構えてる敵に山の斜面を駆け登りながら突撃なんて。彼らは『突撃』という命令をどんな想いで受け止め、山を駆け登ったのか…。マシンガンの雨の中、遮るもの、隠れるもの一切ない中でどんな気持ちで駆け登ったんだろう…。
今、僕らが演じている『ホブソンの婿選び』もこの日露戦争の頃と近い時代である。この頃、イギリスも確か戦争してたはず。そんな時代、平和だった頃に想いをよせて書いたのが『ホブソンの婿選び』だったと聞く。そう思いながら『ホブソンの〜』を見ると改めて平和な事の素敵さを感じるのである。

4