僕らが少年の頃から随分価値観が変わって来ている物にヘルシー志向という物がある。正直、僕らが子どもの頃は、お水を買うだのお茶を買うだのは信じられなかったし、小学生の頃、学校の帰り道の途中にあるスーパーで当時新発売の『ポカリスウェット』の試飲を飲んだ衝撃を覚えている。
(何?このレモン水を薄めたみたいな飲み物は?まずっ!)
それが今やスポーツや風邪をひいた時には欠かせない飲料となっている。そして色んな食物、飲料で目につくのが…
【カロリーオフ】
【糖質オフ】
かくいう僕も糖質はそれなりに意識はしているが、なんだか最近あまりにも糖質が悪者にされてるような気がするのは僕だけかな。
これまで全世界で人類を育ててきた炭水化物がここにきて一変して悪者になりつつある。ご飯、パン、麺、芋…。まるでちょっとした毒物扱い。
何千年も主役をはってきた彼らが今、悪役になろうとしている…。確かに年齢に応じたカロリーや糖質制限は必要かも知れないが、人類にとって大切な物だから何千年も世界中で支持されてきたのではないだろうか。そんなに体に悪い物なら人類も食べ続けなかったのではないだろうか。
糖質制限の番組。その中で一般中年サラリーマンの飲み会を密着取材している。《加藤さん(仮名)、この日は頼んだ単品料理をしっかりと残してご馳走さま!さすがです!》
ナレーションはサラリーマンの加藤さん(仮名)が糖質制限を守って料理を残した様をほめたたえている。
おかしくないか?
食べ物を残すのは失礼な事ではないのか。ほめたたえる事なのか。確かに無理に食べる必要はない。しかし調理をした人、そして食材となった『命』に対しての敬意を無にするようなこのナレーションには正直納得がいかないのである。

4