さる先日、まだコガモの心配が消えないその日、花屋さんの店先に並ぶカーネーションでその日が母の日だという事を知る。
母の日…。母は30年以上前に亡くなったとはいえ、僕は母の日に1輪のカーネーションすら贈った事がなかった事に気づく。
(しかし母の日は今日だ。今さら遠く、故郷の高知に贈った所で母の日には到底着かない。)
一応、花屋さんに聞いてみる。
「(花屋さん)そうですね…やはり高知だと着くのは明後日になると思いますので母の日には間に合わないですね。」
しかも送料だけで1500円。間に合わない上に300〜500円くらいのものを1500円かけて贈るのもな…。結局、店を出て自転車で店を後にする。
その途中、1輪のカーネーションを手にお母さんと手をつないで花屋さんをのぞいてる小さな女の子がいる。
「(女の子)う〜ん…やっぱりもうちょっとママにお花欲しいな…」
「(お母さん)うん。もうそれで大丈夫だよ。ママ、あなたの元気な顔だけで十分だよ。」
急遽、自転車を反転させる。さっきの花屋さんへ。
「すいません!やっぱり、この小さい鉢植えのカーネーションを高知までお願いします!」
「(花屋さん)間に合わなくても宜しいんですか?」
「ええ。母の日に間に合わなくてもいいです。間に合わなくても、とにかくやっぱり贈りたいんで。」
花を贈り終えると、健吉さんにそのままメール。
《今日、小さなカーネーションの鉢植えをそっちに贈りました。明後日くらいに届くと思います。母の日には間に合わないけど仏壇にでもお供えしてあげてください。 太郎》
思いの外、早く次の日に健吉さんよりメールが届く。《花を有り難う。【中略】仏壇に供えた。お母さんこじゃんと喜んじょった。(お母さんとても喜んでた)》

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