「そういえば今、テレビで『ベストキッド』やってましたよ。」
川村さんが教えてくれる。あぁ、そうか。確か午後のロードショーで1から4までやってるんだったわ。録画し損ねたな…。
「(僕)《映画のシーンで》ワックスがけとか、ペンキ塗りの修行してた?」
「(川村さん)いや、1ではなくて2の方でしたから…」
「(僕)なら、でんでん太鼓の方か…」
「(川村さん)さすが良く知ってますねぇ。」
「(僕)でもいつかやりたいねぇ。無名塾の稽古場で『ベストキッド』の舞台を。」
「(川村さん)いいですねぇ。やりたいですねぇ。」
「(僕)まぁ、もう既に『キッド』ではないけどな…。『ベストオールド』だけどな…」
「(川村さん)いいじゃないですか!」
「(僕)いや、もはや四十過ぎていじめられたから、空手を習うって時点でちょっと痛い大人の話になるもんな…」
「(川村さん)いいじゃないですか!」
「(僕)いやいや、四十過ぎたおっさんがそこそこ空手習っても、もはや10代20代の力自慢にはそうそう勝てないでしょ!?」
「(川村さん)いいじゃないですか!」
「(僕)少々技術身につけても体力持たないからね…。すぐバテちゃうから。」
「(川村さん)いいじゃないですか!」
「(僕)ねぇ、君、さっきから俺の話ちゃんと聞いる?」

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