「(保坂君)『豚の背あぶら!』『豚の背あぶら!』」
「(僕)どうした?保坂さん。」
「(保坂君)いや、この前、山本さんがやってたギャグです。」
「(僕)……」
「(保坂君)………」
「(僕)滑ってるね…」
「(保坂君)滑ってますよね…」
「(僕)で、どうしたのよ?」
「(保坂君)いや、今回の舞台で小坂役で登場する時に何か一言、言いながら舞台に出ていきたいんですよねぇ。」
「(僕)そうやね…何か一言、言って良い『滑り』をしたい訳ね。」
「(保坂君)あの頃に流行ったギャグとしては『ダッダーン!ボヨヨン!ボヨヨン!』とか『カーカキンキンカーキンキン』てのがあるんですけど…」
「(僕)うーん…滑るというよりは懐かしがっちゃうよね。お客さんが。」
「(保坂君)やっぱり僕には山本さんみたいに滑れないですよ…。」
「(僕)保坂さん、どうしてもウケちゃうもんな…」
「(保坂君)そうなんですよ…。僕、この前、『ロデオ・ザ・ヘブン』て劇団とこの舞台に出たじゃないですか?」
「(僕)はいはい…」
「(保坂君)そしたら山本さんが、『ねぇ!保坂!ロデオ・ザ・ヘブンの本番前てどんなかけ声かけるの?【ロデ・オーっ!!】とか言うの?』つて…」
「(僕)……」
「(保坂君)………」
「(僕)さすがだな…」
「(保坂君)さすがですよね…」
「(僕)もはやプロの滑りだな…。『プロスケーター山本』の誕生だな…」
「(保坂君)目の前の雪山を指差して、『お前!あのてっぺんから滑るのか!?死ぬぞっ!!』て言われるくらいの滑りですよね。」
「(僕)まぁ、確かに小坂が『うぃ〜す』と入って来ながら何かいい滑りの一言を言って客席、ぽかーんとさせた後…」
「(保坂君)『あがった?台本?』」
「(僕)て、いきたいよねぇ!」
「(保坂君)滑りが良けりゃあ、滑り笑い来るかもしれませんしね…」
「(僕)確かに…」
〜千秋楽本番〜
「(小坂)うぃ〜す。オス、おら悟空…」
《客席爆笑》
〜終演後〜
「(保坂君)カマさん…やっぱムリっす。俺には滑りは…」
「(僕)うん…お前にはプロスケーターの才能はないのかもな…」

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