目が覚めた。親父殿の夢を見た。
どうしようもない親不孝さを感じた。とてつもなく親不孝さを恥じた。この歳になってもやりたい事を何も言わずにやらせてくれているそんな親父殿に僕はめんどくさがって電話すらめったにかけない。
電話する。
「(健吉さん)おう!どうした?」
「(僕)いや…別に用はないけど、元気でやりゆうかなぁ、と思うて…」
「(健吉さん)おう。元気や。珍しいにゃあ、お前が電話かけてくるらぁて…」
「(僕)うん…まぁ…最近全然電話もしてないなあ、と思うて…。うん。元気やったらそれでええわ。また暇を見つけて電話するわ。」
夜、僕の電話が震えた。健吉さんからのメールだ。
【さっきは電話をありがとう。突然でびっくりしたけんど何か用事があったんじゃないか?困った事があったら言ってこいよ。】
別に困った事はないよ。己の親不孝さをふと感じただけだよ…。
親父殿。体に気をつけてまだしばらくは元気でいてくれ。

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