(ラーメン食べたいな…)
そんな事をふと思う。ま、大多数の方がラーメンは好きだと思うが僕もそれにもれず好きである。とは言ってもしょっちゅう食べに行くほど好きではない。ラーメンを食べに行くなんて年に数回くらいかもしれない。ただ、時折来るのだ!
(ラーメン食べたい!)
と思う時が。
食べたい!と思った時に食べるラーメンはやはり美味い。『明烏』の時の『替え玉』ネタが脳裏に残ってたのか、豚骨ラーメンをバリカタで。
ふと、麺の上のネギに目が行く。ネギにはいつも思い出す事がある。
健吉さんの友人の事だ。とても気のあう友人だったそうだ。
「(健吉さん)そいつはネギが嫌いでなぁ、どんな料理でも必ずネギをよけて絶対ネギを食べんのよ…」
「(少年時代の僕)うんうん。」
「(健吉さん)でも、そいつ白血病になってな、まだ二十何歳かぐらいやったのに亡くなったわ…」
「(少年時代の僕)そう…」
「(健吉さん)ま、だからと言う訳やないけど、ネギは残さず食べろ。」
確かにネギを食べない事と白血病は直接因果関係はないであろうが、若くしてこの世を去った友人の死は健吉さんにとって、好き嫌いなく、いろんな物を食べる事は病気をしない一つの教訓のように感じたのは無理もない話である。
幸い僕はネギは嫌いではない。ま、かといってネギは『あれば何杯でもご飯いける』というような食材でもないから、そんなに食べたいとも思わないが。
ネギはスープの中にバラけると食べにくくなる。スープの中にバラけたネギをレンゲですくいすくい頂くのもいいが、麺の上にまとまって乗っかってるうちにネギのほとんどを頂く。
「ご馳走さまでした。」
お昼時でお店も賑やかなせいか、店を出る僕の声に店員からの反応の声はない。
「有難うございました!」
出口を出ようとした頃、店の中から店員さんのそんな声が聞こえたような気がした。


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