まだまだセミが鳴いている。夏好きの僕にはせめてもの救いである。セミでうるさい木を見上げるとアブラゼミが二匹確認出来た。何枚かの葉の裏にはセミの抜け殻も確認出来る。
「(僕)でもさ、セミってのもバランスの悪い一生だよね。」
「(保坂さん)幼虫は土の中に7年もいるのに、成虫になって地上にでると7日の命ですからね。」
「(僕)でも中にはさ、『さ!そろそろ地上に出よう!』って土の中を上ってたものの地上がコンクリートやアスファルトで固められてて地上に出れないよ!って時もあるのかな。そんな場合、セミの幼虫って土の中でどうすんだろ?」
「(保坂さん)7年の間には地上が道路工事されてる可能性もありますもんね。」
「(僕)な。7年前、潜った時は土だったのに…て事もあるでしょうに。『あれ?出れねーぞ…あれ?おかしいなぁ…』みたいなね。」
「(保坂さん)そうですよね。」
「(僕)暗い土の中をひたすら、地上に出られる場所を探してもぐらのように移動するのかな…」
「(保坂さん)さあ…」
「(僕)仕方なく土の中で殻脱いじゃうのかな…」
「(保坂さん)さあ…」
「(僕)そんな事って出来るのかなぁ。」
「(保坂さん)さあ…」

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