「カマさあ、じゃあ、これを作って!」
段ボール小道具チーフの山本さんが僕に言う。
『勇者ヨシヒコ〜』の撮影もそろそろ大詰め。でも作らねばならない段ボール小道具はまだまだ尽きぬ。
「ほう。それを作りますかぁ…」
と僕。
山本さんが言ってきたそのモンスターは5年前、『勇者ヨシヒコ〜1』の時に作ったモンスター。既に1体あるモンスターではあるが、もう1体あった方が何かと撮影に都合が良いのでもう1体作れないか、と山本さんは言うのだ。
「(山本さん)じゃあ、宜しくね。」
〜保管場所〜
そのモンスターを取り出す。確かに『勇者ヨシヒコ〜』ではよく出てくるモンスターだけにもう1体あった方が何かと都合が良い事は確かだ。
頭部を見てみる。上から下から右から左から。5年前の作だけに多少作りは粗いがでもよく出来てる。
これをもう1体か…。うん!作るか!さて!えーと!まずはどうやって…えーと…あれ…どう…やっ…
〜作業場〜
「(僕)山本さん。」
「(山本さん)何?」
「(僕)作り方が分かりません。」
「(山本さん)何ぃっ!?」
「(僕)これは一見、作りは粗く見えますが中は非常に高度な技術で作られてます。今の我々の技術では到底造形困難な代物ですね。」
「(山本さん)いやそれ、お前が…」
「(僕)こういうの何て言うんだっけ?クフ王のピラミッド的な…何千年も前の建造物なのに今の一流建築学でも建てられないくらい高度な技術の…えっと…保坂。」
「(保坂さん)ロストテクノロジーっす。」
「(僕)そう!それだ!ロストテクノロジー!このモンスターは正に失われたハイテク。これを作ったやつは相当高い技術を持った者と思われます。」
「(山本さん)いや、以前それ作ったの、カマ、お前だからね。」
「(僕)こいつは相当高い計算の元に作られてるぞ。どんな技術だよ。これは。保坂、こういうのを…」
「(保坂さん)ロストテクノロジーっす。」
「(山本さん)いや、5年前より、お前の技術が劣ってるってだけの事だからね。」
「(僕)こいつはピラミッドの仕業だな。」
「(保坂さん)使い方間違えてきたっす。」

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