僕は昔からホラー映画が嫌いで。僕が小学生の頃は普通に映画看板がそこかしこに立ってましてね。『ゾンビ』だの『食人族』とか看板が立ってる訳です。通学路の途中にもね。
皆で登校の朝の通学はともかく、暗くなりかけた時間にその看板の前を通る小学生の恐怖たるや!
「お前が子供の頃、お父さんと車で走ってたら、『お父さん!あのゾンビの看板の前、通らんとって!』言うて、俺に泣きついてきたなぁ。」
今でも時折、父の健吉さんはそう言って僕をからかう。
エレベーターが開いたら青黒く変色した無数の手が伸びてくる『ゾンビ』看板の怖かった事!
しかし今や、そのゾンビもすっかり市民権を得てしまったというが、ハロウィーンの時期には普通にゾンビメイクの女の子が沢山いるし、なんといっても『バイオハザード』なんてアクションエンターテイメント映画も出てきたせいで、僕にも地上波で流れるレベルのゾンビ映画なら観られるようになりました。『アイアム ア ヒーロー』も観れたし。
そんな中、つい先日クリスマス頃、地上波でやってたのが『人造人間13号』。番組表解説を読むと何やらゾンビ映画らしい。番組表で興味をひかれた映画はとりあえず録画する僕は、この『人造人間13号』を録画、そして観てみる。
ところがですよ…
これ…結構マジのホラー映画…かな。オープニングからめっちゃ、映像も音楽も不穏で…。なんの設定説明もなく始まるのだが、どうやら検死学を学んでいる学生達が合宿で、実際に死体が放置されてる敷地内に入って検死をする、という不気味な設定らしい…。
なんか…
やっぱ…
ダメっぽい…。
なんとか頑張って観てみるが…
その時である!
映画の中で不穏な音がする。と、同時に偶然にも台所のどこかの引き出しにしまいこんでた時計のアラームがかすかに鳴る!
テレビ画面の映像には字幕で
【なんだ?あの音は?】
ダメです…。僕はそっとテレビのスイッチを切った。

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