「よう帰って来たにゃあ。まぁ、ゆっくり羽をのばせや。お前の好きなように過ごしたらええ。」
健吉さんはそう言って僕を迎えてくれた。一応、紹介しておくが、健吉さんは僕の父親である。
「ありがとう。」
と車に乗る。
夜行バスは早朝、高知に着く。朝7時。
「とりあえず朝メシ、食いにいこか。」
健吉さんの運転する車で久しぶりの朝の高知を感じる!
セルフシステムの総菜屋さんに入る。お好きな惣菜を棚から取ったり、定食を注文したりする店である。
「(健吉さん)なんでも好きなものを頼めや。お前の好きなように!」
「うん。じゃあ…これに…しよう…」
「(健吉さん)こっちが旨いぞ!こっちにせぇや!」
「え…うん…。」
「(健吉さん)お前の好きにしたらええ。」
〜
朝食を済ませ実家へ。
「(健吉さん)疲れたろう。ちょっと一眠りせぇや。」
やっぱり今回もバスで眠れなかった僕は朝ごはんも済んで家にも帰って来たせいか眠くなる。
「ありがとう。ほんならちょっと寝るわ。」
「(健吉さん)寝間着(パジャマ)を用意しちゅうぞ。どれ着て寝る?」
めんどくさがりやの僕としてはそのままの格好で寝たいのだがせっかく用意してくれたのだ。好意に甘え、寝間着に着替えよう。
「(健吉さん)どっちのズボンにする?どっちでも、お前の好きなように!」
「あ…じゃあ、そっちに…」
「(健吉さん)いや、こっちがええぞ。こっち、履け!」
「あ…うん。」
「(健吉さん)お前の好きなようにしたらええ!」
〜
「(健吉さん)しかし、お前、相変わらずボロを着てるにゃあ。ちょっとはカッコつけぇ!服でも買いにいこか?」
子どもの頃から服には全く興味のない僕だ。40代にもなって親と服を買いに、しかも買ってもらうなんて恥ずかしい話だが、これも親子のコミュニケーション。童心に帰って2000〜3000円くらいの安いシャツの1、2枚、この際、敢えて買ってもらおう!
〜ユニクロ
「(健吉さん)お前の好きなのを買うたらええ!どれでもええぞ。」
「うん。ありがとう。ほんならこれに…」
「(健吉さん)こっちがええぞ。これの方がカッコええぞ!これにせぇ!」
「うん…ありがとう…。」
相変わらず変わってないねぇ!健吉さん!お前の好きにしろと言いながら…。
なんだか可笑しくなってきたよ。
「うん!じゃあ、お父さんの言う、それにするわ!!それがええねぇ!!」
「(健吉さん)でも、お前の好きにしたらええ!」

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