福岡にいます。九州最大の街。
福岡公演になると毎回ブログに書くのが『大濠(おおほり)公園』。福岡の街中にある周囲2キロの池のある公園です。
僕は福岡に行くと必ずこの公園に足を運びます。ウォーキングやジョギング目的ともうひとつ個人的な目的があるのです。
もう6〜7年前になりますか、やっぱり福岡公演に来てた僕は大濠公園を夜中歩いてました。そんな時、ふと後ろから不思議な音を感じるのです。
「にゃ、にゃ、にゃ、にゃ、…」
猫です。少しふとっちょの。おかしいのが普通、猫は『にゃ〜』と鳴きますがこいつは『にゃ、にゃ、にゃ、』とスタカッートに鳴くのです。ついおかしくて少しかまってやると、人に馴れてるのか、なついてきました。抱っこしても静かにしてるし、下ろすと『にゃ、にゃ、』とついてきます。僕はそいつを思わず『ワンチャイ』と名付けました。(おそらくその昔、活躍してたムエタイ【タイ式キックボクシング】のボクサー『ナパ・キャット・ワンチャイ』の名前から『キャット』つながりという事で名付けたんだと思います。)。ワンチャイは小股でちょこちょこ歩きながら『にゃ、にゃ、』とついてきます。抱っこすると、楽チンと言わんばかりにやっぱりじっとしてます。池の半周近くくらいワンチャイと一緒にウォーキングしてましたが、僕は旅公演の身。連れて帰る訳にも行きません。ワンチャイを下ろし足早に去りました。しばらくはついてきましたが、大濠公園は利用する人の多い公園です。人になつくのに馴れてれば、人とサヨナラするのも慣れてたらしくいつの間にかワンチャイはいなくなってました。
それから福岡に来るたびにワンチャイが気になり大濠公園に足を運びますが、当然会える訳もなく。
でもやっぱり今回もワンチャイの姿を求めて大濠公園へ。
犬や猫は人間の7倍の早さで歳をとると聞いた事があります。僕にとっての6〜7年はワンチャイにとっては40〜50年。この公園にはおろか、もうこの世にすらいない可能性が圧倒的。そんな事分かってます。分かってますがやっぱりワンチャイの姿を求めます。この辺りでアイツに気づいて、この辺りでお別れしたっけな、なんて思いながら。
会えない事分かってるのに、でもなんか聞こえてきそうなんだよな。あの『にゃ、にゃ、』ってワンチャイの声が。


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