昔のバイト仲間と居酒屋に入る。昔からあった居酒屋だが、違うチェーンの居酒屋に変わっていた。
「二名様ですか?只今すぐにお料理だせない状況ですので少々お待ちくださいませ。」
他に客がいっぱいで、すぐに席を案内出来ないなら分かるが、料理がだせないので待てとは、これいかに?数分後に座席案内の店員さんが現れる。曲がりくねった廊下のせいか、店内が想像以上に広くは感じる。そこそこお客は入っている。しかし満席というほどでもない。案内係りさん、ある部屋を通り過ぎようとして、つと立ち止まり、一瞬考えて
「どうぞ。こちらへ。」
あれ?もしかして今、一瞬案内する席迷った!?
とりあえず飲み物頼みます。飲めない僕はいよかんジュース、飲める彼はラムネハイ。食べ物はまた後で…。
「ご注文繰り返させて頂きます。いよかんジュースとラムネハイ…ですね。」
「はい。」
「少々お待ち下さいませ。」
〜なんやかんや〜
「…でも鎌さん、よく飲まずにいれますねぇ。」
「まぁね。飲めないからなぁ。」
「もう俺なんか毎日…」
「お待たせしました!いよかんジュースと、ウーロンハイ、生二つです!」
え!?生ビール頼んでません!それにウーロンハイじゃなくラムネハイですけど…。
「あれ?こちらのテーブルではないですか…失礼しました。」
もし僕ら二人共、酒豪だとしても二人テーブルにジュースと焼酎、生二つはないでしょう!まぁ、忙しいのね。いやいや、でも空席もそこそこあるぜ。
〜ビール〜
僕はアルコールが飲めない事はブログ読者にはご存知の事かもしれない。飲めない僕ではあるが、しかしそれでもビールって奴は美味そうに見える。
黄金に輝く液体の上にフワリとクリームのようにのった純白の泡。キンキンに冷えてうっすらと曇ってるジョッキ!コールドドリンクに目がない僕にはその視覚効果、まさに絶大!この世界レベルで人々を魅きつけてやまない飲み物、さぞかし美味いものでしょうな。
アルコールが飲めないのは本当残念な事である。今、ちまたで食中毒や、毒素成分入りの食物製品がニュースになっている。食べると舌先がピリピリし、頭痛や嘔吐の症状。しかし飲めない人間にとってアルコールはまさにそういう意味では毒薬なのである。
苦いのか辛いのか舌を刺激する不快な味覚。飲むと段々頭が痛くなり、吐き気をもよおす。そのうち吐き気は嘔吐に変わり、更には寒気と強烈な眠気という意識障害が体全体を襲う。まさしく毒薬。
しかしその場の雰囲気というものがある。飲めない人間は頑張って小さなグラスに満たされた『毒薬』を何十分もかけて少しずつ処理していく。時には水やお茶などの『解毒剤』をかたわらにやっともう少しで飲み干せそうなそんな時!
「あーごめんなさい。気がつきませんでした…」
なみなみと注がれる毒薬…。ふりだしだわ。ここにきて日本人の美徳である『気配り』が僕を容赦なく苦しめる。まあ…毒薬というと言葉に語弊がある為、そうだなぁ…例えば、雑草の匂いの立ち込める濃厚な青汁をグラスに満たされる、やっとの思いでようやく飲み干せると思いきや、またなみなみと青汁を注がれる、そんな感覚やもしれぬ。しかもその青汁がジョッキだった日にゃあ…。
あ!でもノンアルコールでもいいのなら、飲みの席って嫌いじゃなくてよ!

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