前回と今回で、だいぶ状況の見通しが良くなった感じがする。
このアニメは、チェルノブイリ原発や“
チャイナ・シンドローム(1979)”のような大規模原子力災害を防ぐ為に、危険な炉心作業に挑むこととなる少女兵士たちの物語ですね。
やはり陸軍版“
K-19(2002)”だな。
まず
セーズの街の伝説にある「
世界を焼き尽くす火を噴く悪魔」の伝説から、この地の谷底にある原子力施設と、その臨界事故(但し炉心融解までは行かずに済んだ)の歴史が暗示されている。当然、その原子力技術は
タケミカヅチ同様、ロスト・テクノロジー化しており、その詳細を知りコントロールできる人間は存在しないが、ほぼ全自動化された維持管理システムで、普段は原子炉の通常運転(≒発電)が為されているようだね。
例えば、前回(第5話)に登場した無人の監視装置は、原子力施設に付ものな(無人)モニタリングポストで、大気や土壌、水や植物など(出現した文字が対象物?)、周囲の環境中の放射能や放射線量を測定し続け、放射能漏れを検知し警報を出す設備だ。
また、
砦の先輩兵士たちが発見したという温泉は、この原子炉の熱交換に用いた後の二次(or三次)冷却水の排水パイプから(一部破損で?)漏れた温水が、地上に湧いている場所だ。
ちなみに原子力発電は、実は水蒸気タービン発電なので、一次や二次の冷却水など大量の水を必要とするのだが、このアニメでは
セーズの谷にある湖(多分、ダム湖)が、その供給源として示されている。
そして、今回の6話で暗示された、
東の国境ビネンラントで起こった原子力事故。街を襲った「
見えない死神」は、モニタリングポストが経年劣化で故障した後に発生した放射能漏か臨界事故で、周囲の住民が急性放射線健康傷害で大量に死亡。さらに街を脱出した元住民の多くも、癌や甲状腺腫瘍、白血病などで、まもなく病死したのであろう。
そう考えて振り返ると、第3話で
カナタの発熱に
リオが大慌てしたのは、その放射線傷害を疑ったことでの慌て振りと考えれば、なるほどと納得が行く(つまり、知らない間に放射能が漏れ、
セーズの街と住民が被爆してる可能性)。
そうすると司令部との直通電話も、上の命令を受領する為というより、
セーズの原子炉に事故が発生した場合に、中央にそれを速やかに伝えるホットラインなのよ。
という事で、
砦の先輩たちも、数年に一度生じる炉心部での危険な保守点検作業や、軽度の故障の修理に谷底にある原子炉へ向い、防護服などが不十分な作業環境で被爆して、健康を害して砦を去ったり、病死したり等、不幸な結末になっているのだろう。
そんな訳で終盤展開は、やはり“
K‐19”ばりに、暴走した原子炉のメルトダウンを防ぐため、放射線の充満する炉心部に行って、制御棒を降して原子炉を停止させる決死の任務のお話になるんだろうね。

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