ちょっと、遅くなっちゃったけど。
一応以前に、「買ったよ」報告の記事は、書いておいたのですけど…。今月の当ブログへのアクセス解析などを見ると「
皇国の守護者」で検索して来る方が、結構いるようなので、あらためて感想も書きますね。
尚、今月の検索ワード・ベスト10も、ついでに発表しておきますと、
1)ジパング 2)静留 3)感想 4)皇国の守護者 5)舞−HiME 6)なつき 7)みらい 8)シースパロー 9)サルボ 10)舞
という事でした。上位の検索キーワードで、まともに感想を書いてないのは、この
皇国の守護者だけだったりします。
佐藤大輔氏の人気シリーズ小説。「遅筆だ。」、「完結しない話ばかり。」等と思わせつつも、9巻目まで辿り着きましたね。5巻目辺りから燻って来て、前8巻のラストで勃発したクデーター話が、この巻で鎮圧されましたので、ストーリー全体の1/3か半分位は消化したのでしょうか?。少なくとも、まだまだ先はありそうな展開です。
佐藤大輔氏が、仮想戦記の世界でエポック・メイキングなのは、テクノロジーの戦争における位置付けを、きちんと描ける事。何処ぞの誰かさん作みたく「戦車軍団が、突然砂漠を突破して来たり」せず、「戦車は、走れば故障する」という事をきちんと書いた事ですね。
皇国の守護者は、舞台が架空の世界の架空の戦争で、厳密には仮想戦記とは言えないのですが、その辺の感覚はちゃんと活きてます。本シリーズは、科学技術のレベル的には、日本の明治時代程度の文明。一方で「剣牙虎(サーベル・タイガー?)」や「翼竜(プテラノドン?)」、さらに「知性と超能力を有した龍族」といったファンタジー生物も登場。人類世界も一様ではなく、「テレパシーを使い、通信や索敵を行う導術者」や「両性具有者」なども登場し、それぞれの種族の歴史と政治的策術も、作中で語られたりします。最初に第1巻を読んだ時の印象は、「ファンタジー世界で日露戦争をする話」だったですね。
さて、その9巻目ですが。
まず、今回も期待を裏切らず、大変に面白かったです。特に、
龍挺隊により空中機動戦を展開するアイディアは、感心しきりでございました。
一方で、本作の特徴でもある「人物描写の毒々しさ」は、やや遣り過ぎの感もありました。新城直衛と蓮乃が一時は性交渉を持っていたとか、麗子が直衛の子供だとか、この巻で明かされた新設定は、ドギツ過ぎた感じです。特に、麗子は、将来直衛の妻(実の親子で結婚?)になる設定なわけだから、結構なショッキング・ネタでした。新城直衛の軍事的才能を突き動かす、そのエネルギー源が、彼のコンプレックス。それも特に義姉:蓮乃に対する秘めた想いと、彼女が彼を弟としてしか見てない事への劣等感。その満たされる事のない想い。そこにある、と思って8巻まで読んで来たのですが!?。これは困ったなったな、という感覚です。またも佐藤大輔氏お得意の衝撃展開で、本巻ラストで蓮乃を殺してしまったので、その展開も在りだったかも知れませんが、行き過ぎの感が否めないと思いました。
基本的には、大好きな小説ですので、この先も期待しつつ待ってます。ですから、ちゃんと続きを書いて下さいね!。

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