大会指導員用の説明書を何度も読み返したが、演武錬成のために集合するタイミングがどこにも書いてない。遅くて出遅れても困るし、早いと控え場所は狭いので邪魔になるだろうからそのタイミングは大事なはずだが。
出番の8組くらい前に廊下で整列して、整ってから控え場所に行けば適当な時間になるだろうと考えて、みんなにそれを伝えた。
予定通り整列して演武の控え場所に行ってみると、少々早かったが出遅れるよりはいい。
係りの人に少し 〈はやいなあ〉 と言う顔をされたが。
しばらく待ってアリ−ナに入る。中央の白い枠の演武場の後方に正座で出番を待つ。
このとき演武の状態のままでならんでいたいが、なかなかそうも行かない。
移動するたびに子ども達の列はくずれていく。
スム−スに入場して体制を整えるためには、このあたりの工夫と入場練習の余地があるだろう。
そうこうしている間に、前の演武はもうすぐ終わろうとしている。
出てしまえばそれなりに気持ちは落ち着くのだが、このときが一番緊張する。
そのとき、私の左に座っていた男子
(推定小学5年生、顔は知っているが名前と所属道場は把握していない)
が、話しかけてきた。
『ねえねえ、これって本番?』
思わず顔を見てしまった。
『?????…ほ、本番だよ』
そのとき前の組の演武が終わり、進行係りから入場の合図がでた。
『走れ〜!!!』

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