滝野川少年部今年の目標は、その日武道館で初めて会った人と稽古をするというものだ。
正直なところ私は、だれも出来ないかもしれないと、稽古練成が始まる時もそう思っていた。
子どもたちが稽古で動き出すと、いつもの仲間同士でやっているのは出場9人のうちたった一組で、他の6人はまったく知らない始めての相手と、残りの一人は荒川合気会の子どもだが滝野川ではないほかの道場の子どもと稽古をしていた。
子どもが知らない人と稽古をするのは、勇気が要ることだろう。
知らない人に声をかけるのは、そんな事に慣れていない子どもには、なかなか出来ないことだ。
それに声を掛けられる側の子どもも、いつもの仲間と稽古をしたいと思っているだろうから二重のバリヤ−に覆われている、なかなか高い壁だ。
いくつかの稽古をしていくうちに、みんな他の道場の子どもとの稽古を体験したようだ。途中で元の仲間との稽古に戻ったりしていたが、私の予想をはるかに超える稽古練成だった。
朝、出発前にみんなに言った、
知らない子と稽古をして
『来年も武道館で会おう』と言っておいで!
という言葉を、私は本気でそう思っている。

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