政府与党による来年4月からの高齢者の医療費負担増の凍結は、
70歳〜74歳の負担倍増が1年間凍結、
75歳以上の新たな保険料負担は半年凍結、
となる方向で調整が始まった。
では、その先は?
半年、1年猶予を与えられれば、負担増で医療機関にかかることができなくなる人たちの問題は解決されるのか。
それ以上凍結したら高齢化で国の負担は増える一方だから仕方ない。これが国の財政からの言い分だが、その付けを回される方の言い分は耳に入っていない。
私人間なら見解の相違で放置すればいいが、施策はそうはいかない。ゆえに義務という形で一方に強制される関係では事前の調整が調整が必要だ。それは単に民主的多数決原理というにとどまらず、少数意見の尊重を踏まえた自由主義的民主主義において。
その意味において、今の政党は名と体が逆転している。
消費税増税への地ならしが始まっている。
財源、財源と繰り返すことで安易に消費税に流れる国民性を踏まえてのことだろう。
すでに消費税増税は織り込み済みとばかり、死んだはずの公共事業投資が復活しているらしい。
今週の週刊ダイヤモンドでは2003年1月時点で停止した5つのダム事業のうち4つ(丹生ダム、大戸川ダム、天ヶ瀬ダム、川上ダム)が2007年8月28日の時点で復活したとのこと。ダムだけではない。道路公団民営化前に不採算で建設不可能と思われていた34区間822キロメートルの工事、総額約3兆円の工事がよみがえったりと時計の針が逆回しされている。
地方への配慮。結構なことである。しかし、地方のどういう人を見ての配慮なのか、その配慮と国の進むべき方向とはどう調整されるのか。
極端な形で還元すれば自己責任貫徹のアメリカ型で行くのか、高負担だが医療福祉に国が責任を持つスウェーデン型でいくのか。目先の問題先送りだけでは何も見えてこない。高負担の上に自己責任といわれかねない今の状況に、かえって国民不安は増すばかりだ。