第4回 和船の船体構造の発展
船は、古くから人々の交通の手段として、道具として、使用されてきたと思われる。当初は、漁や交通手段に使用されてきたが、人々の生活圏が村から国家へと拡大することによって、船も大型化の道を進んだように思われます。

和船の構造T (平安・鎌倉時代の船)
古代の刳り船からの発展はないと考えられる。前回の`和船への誘いVol.3(平安鎌倉の船)゛で紹介した通り、櫂から櫓へ変わったことと上船梁や下船梁で強度を強化して、上棚を設けることで多少の対波性を持っているが、もうしわけ程度のものしか持っていないと考えられる。また下の瓦は、゛刳り舟゛そのものなので、刳り舟の上にいろいろ乗っかっているという感覚といってもいいでしょう。

和船の構造U
基本の構造を変えず、積載量を大きくするために中棚を儲けることによって、底を上げ積載量を多くしている。また、船底を深くすることによって、船に安定性を与えています
。

和船の構造V
ここまで来ると国家と人口による、経済増大の結果による、大量流通のために積載量が肥大化していく、この構造の一番大きな特徴は、そこの瓦(刳り抜き船)の部分を立て二つに切断し、面木にしたということで船体の幅が広がり積載量が増大した。また、船底の部分が、刳り船から木を板状のものに加工したものに変化したことによって、字も瓦から、航と書いて゛かわら゛と読むようになっている。

和船の構造W
海上輸送の拡大に対応出来ないために、刳り抜き船を使用する準構造船から加工した木を組み合わせて作る構造船に進化した。特徴としては、面木という刳り抜き船の縦割りにしたものから、木を加工し、根棚というものに変化した。これにより、刳り抜き船のように、゛木の幹゛本来の大きさに捕われることなく、ある程度の制約があるものの、自由に大きい船を建造出来るようになった。このような船の構造は゛大板構造゛と呼ばれ、室町時代以降の和船の基本構造として、確立していった。
参考文献
世界文化社 復元日本大観 4 「船」
著者 石井 謙治/石渡 幸二/安達 裕之
次回 7月5日 室町時代の船 掲載。

0