迷子のコリー君を巡って各地のコリーブログが揺れています。
ジュリアスの連絡帳さんへトラックバックさせていただきました。元の飼い主さんが諦めることになったとの情報です。せめて両者納得のいく話し合いが持てた結果のことであろうと望みます。
追記3: 結局、飼い主さんは一度も話し合いの席に着かせてもらえないまま、もう太郎君に一生会わせてもらえないことになったようです。詳しくはコメント欄を。情報が大量で読みづらいかと思いますが、何が起きたのか、大体の流れがわかるはずです。
追記1:まりんの我楽多箱さんにもトラックバックさせていただきたかったのですがうまくいきませんでした。リンクしておきますので愛犬家の方は是非ごらんになって下さい。
追記2:団体さんの掲示板に、質疑応答が載っています。この掲示板でのやりとりを見る限り、やはり一方的な印象が否めません。CATNAPさんはしっかりした団体だと思っていただけに残念でなりません。(追記4:掲示板内の意見もコメントもすべて削除されました。)
私も先日までリンクを貼っていた、
葛飾区で保護されたコリー君。処分直前に保護団体によってレスキューされ、関西の預かりさんのもとで里親探しを進め、ほとんど決まった、というところで飼い主さんが名乗り出たそうです。今まで、ネットという方法に気付かなかった飼い主さん、地元の警察や地元のセンターに届け出を出して探していたのですが、コリー君が県境を越えて別の管轄の保護センターに保護されてしまったため、情報が一致せず今まで時間が経ってしまった様子。
現在、水面下でどういう話になっているのかはなかなか見えてきませんが、どうやら、すんなりと元の飼い主さんのところへ戻す、というわけにはいかないようです。
処分寸前のところで命を救われたのは、有志のコリー愛好家や保護団体、そしてボランティアさんの必死の働きがあったから。彼らが引き出してくれなかったら、この子はもうとっくの昔に苦しみながら窒息死させられていたところだった、それは確かなことだし、この子をそんな目に遭わせてしまったのは飼い主の過失…もう二度とこの子がそんな目に遭わないように細心の注意を払いたい…その考え方はよくわかるのです…でも、飼い主さんにとっても、大切なパートナーである愛犬…解決の道はないのでしょうか。
我が家は真黒郎のとき、非常に似た立場を経験しました。預かり側として、です。(過去LOG
「元迷い犬・真黒郎の帰還」をお読みください)
うちのご近所さんが保護して、我が家で預かって、ヒュメイン・ソサエティはもちろん、警察にも民間シェルター4カ所にも近隣の獣医にも知らせて、新聞広告まで出して、それでも見つからなかった飼い主。Humane Society(ここの場合カウンティ・シェルター)で「その犬を収容することはできるが、72時間飼い主が見つからなければ殺処分される」と言われ、うちの子にすることに決めました。
零下15℃の凍てつく朝に食べ物を探してウロウロしていた真黒郎、フィラリア陽性だった真黒郎、デモデクス(アカラス?)で背中の毛が抜け落ちていた真黒郎。きっと捨てられたのだと思いました。去勢手術も受けさせ、命がけのフィラリアの治療をし安静にさせ、デモデクスの治療も始めた5週間後、突然飼い主が現れて「犬を返せ」と言ってきた時のショック。
この子をこんなふうに病気にしてしまって、ろくに面倒も見ず寒い朝に庭へ放置して、おまけにろくに探しもしないで、今更返せって?そんなふうに考え、拒絶しました。
それからは地獄。相手からは「finders keepers」と泥棒扱いされ、「幼い息子の親友を取り上げるつもりか」と凄まれ、怖くてろくに外出も出来なくなりました。我が家のドライブウェイに警察の車が入ってきたり(相手が通報したため)こちらは弁護士に相談したり、もうそれは大変な数ヶ月でした。
結論から言うと、私たちは彼を元の飼い主の元へ戻すことになりました。法律的に、真黒郎の所有権は元の飼い主にあったのです。もしも、私たちがシェルターへきちんと預けて72時間後に迎えに行ったなら、正式な所有権は私たちに移ったはずだったのですが、そうしていなかった(誰もそんなアドバイスはくれなかった)ので、真黒郎は「落としたハンドバッグと同じ」という扱いで、あくまでも飼い主の「もの」だったんです。
もちろん、そこに明らかなアニマル・アビュース(ネグレクトを含む虐待の事実)があれば話は別ですが、たとえ飼い犬がフィラリアに感染していようが、皮膚病の治療がされていなかろうが、寒い朝、外に出されていようが、法律的には虐待には当たりませんでした。今回の騒ぎの中、どこかで、アメリカの保護団体は元飼い主に資格がなければ迷い犬をそこへは戻さないというようなことが書かれていましたが、
保護団体にそんな権利はありません。アニマル・ポリスが介入するような明らかな虐待があれば別ですが、他の誰が「飼い主としてふさわしくない」なんて判断できるんでしょうか。意地悪な言い方をすれば、犬は所詮モノ扱いなのです。
幸いなことに、真黒郎の場合は、飼い主と私たちの間にあった大きな誤解が解け、彼はちゃんと可愛がられていたことがハッキリとわかりました。今回のケースとも似ていますが、各種行政に出した届けの「found」と「lost」の情報が合わなかったこと。これはシェルター側の手落ちではありますが、動物を巡る扱いはどこの国でも人間よりは格段に下です。予算もなく、人でも足りないシェルターの事務レベルでのミスをそこまで責めることはできません。あらかじめ「ミスは起こりうるから、もし愛犬を迷子にしてしまったら、毎日でも各シェルターをまわって自分で確かめるように」とアドバイスされるんです。そしてその飼い主もあちこちのシェルターをまわったらしいのですが、何故か、檻の中の犬たちのチェックはしても、掲示板に貼られた真黒郎のポスターには気付かなかった。でも、私は最終的に彼らの出していたlostの届けを確認しました。何故最初のときに情報が一致しなかったのかは不思議ですが、きっとよくあるミスなんでしょう。
フィラリアの件も、予防をしていなかったわけではなく、どうやらその飼い主のところに来る前の子犬の時から既に感染していたのではないかと思われる節がありました。フィラリアの感染チェックをせず、毎月の予防薬だけを与えられていたんです。怠慢は飼い主ではなく彼らのかかりつけの獣医にあったわけです。また、背中のデモデクスも、アレルギーと診断され、より悪化させるような薬を投与されていたことがわかりました。相手が私たちを説得しようと獣医のカルテをコピーして我が家に持ってきてくれたことで誤解は解けました。
もちろん、寒い朝に外へ出していたとか、我が家よりは飼育環境が良くないという事実はありました(
環境的には私たちの方が幸せにできる自信があった!)が、愛情は他人の物差しでは測れないのですよね。相手が虐待をしていたわけではないとわかった以上、私たちは真黒郎のためにも、元の飼い主の元へ返すのが一番だと判断しました。もしもここでどうしても納得できなければ相手が裁判に持ち込むのを受けて立つ、という手もあったのです。でも先方は、我が家で支払った、去勢手術、フィラリア治療、デモデクス治療、そしてマイクロチップの費用…すべてを支払って、私たちに感謝してくれました。私たちは彼らの誠意を受け入れ、彼らは愛犬真黒郎と再会することができました。
飼い主一家と再会した真黒郎の喜びよう、正直言って「負けた」と思いましたよ(笑)。そして当然のように「愛車」へ乗り込む真黒郎の後ろ姿は涙で霞みましたが、飼い主夫妻はそんな私たちを優しくハグしてくれました。その後、真黒郎は何度か我が家を「別荘」と認識したようで、たびたび一人で遊びに来てしまいました。そのたび迎えに来る飼い主を待ち受ける真黒郎の嬉しそうなこと、「だったら何故脱走してくるのだ?」と最初のうちは理解に苦しみましたが、要するに我が家は別荘だったわけ(笑)。どっちも大好き。だけど迎えに来た飼い主と我が家の庭でボール遊びする真黒郎の幸せそうな姿に、彼らの絆を感じました。太刀打ちできませんでした。そして、真黒郎はこの2年半、姿を現していません。幸せに暮らしてくれていることを願いますが、もう私たちの力が及ぶ範囲ではありません。MacLo(片隅真黒郎)はもういません。Dakota.Fに戻ったんです。
話を今回の事件に戻します。万が一、元の飼い主さんが「虐待」にあたることをしていた場合を除き、いろいろあってもやはり戻すべきだろうというのが私の(消極的)意見であり、希望です。幸いなことにコリー君はまだ預かり宅にいて、正式な里親と暮らし始めているわけではないから。二重に「引き裂く」という事態は避けられるのではないでしょうか。
本犬の気持ちを考えたらきっと「お家に帰りたい」と思っているんじゃないかな。飼い主さんに過失はあったかもしれない、もしかしたらパーフェクトな飼育環境じゃないのかもしれない、でもだれかを
上の立場から「あなたは飼い主としてふさわしくない」なんて言える人って本当にいるんだろうか。”本当なら”もう処分されていたかもしれないけれど、その”本当”ってなんだろう。
私の意見としての希望はここに書いてみましたが、もちろん、部外者のつぶやきでしかありません。すべてはケース・バイ・ケースだから、
当事者同士の話し合い以外に、解決の道はないと思います。
当事者の全員が納得できる道もきっと見つかると思うのです。この件がどうなるのか、心配で仕方ないです。真黒郎のことを思い出し、いてもたってもいられなくて書きました。
2008年4月25日 この事件の経過をまとめたタロウ君事件のまとめサイトが公開されました。何が原因だったのか、私欲の絡んだ悪意がどこにあったのか、わかります。
迷子のコリー 太郎くんの事件 まとめサイト←クリックしてください

0