『じこまん〜自己漫〜@』
玉井 雪雄(漫画)
2012年
日本文芸社
☆☆☆
「週刊漫画ゴラク」(日本文芸社)に連載中の「ロードバイクあるある漫画」。著者の玉井氏は、「ビッグコミックスピリッツ」(小学館)に連載中の自転車漫画『かもめ☆チャンス』の作者でもある。ニチブン・コミックス。
著者がロードバイクにハマっていったキッカケから、様々な経験談・失敗談、ちょっとしたツーリングやイベント・レースの楽しみ方まで、「趣味の自転車」にまつわるあれこれを幅広く記す。初期のテーマはもちろん「自己満足」だが、だんだん関係なくなってくる(笑)。
人間考えることは皆同じ、似たような道を歩んでいるようで、ロードバイク愛好者が読めば、まるで自分のことのよう(笑)。「ニヤリ」としてしまうクダリが満載だろう。経験者じゃなくとも、『かもめ☆チャンス』の愛読者なら読んでみると面白いかも。それ以外の人にとっては、「素人ローディー目線によるロードバイク入門」にな、な、ならないよな〜(涙)。ま、僕は第2巻が出たらまた買ってしまうでしょうけど(笑)。
これを読むと、玉井氏にとっての「ロードバイク」の本質が「自己満足の対象・手段」というより「自分自身の身体の声に耳を傾けることにより、日常的な雑多な雑念を消し去る」ことにあることがよくわかる。考えてみると、『かもめ☆チャンス』の主人公がロードバイクに出会う前から営業回りに自転車を使っていたのは、それが彼にとって日常的なあれやこれやを頭の中から追い出してしまうことのできる唯一の手段だったからなワケですよね? 著者にとっても、心を無にしてひたすらペダルを踏み続けることによって、単に「趣味の世界に没頭し、苦しい現実から逃避する」のではなく、「苦しんでいる自分自身すら消し去ってしまう」ような効果があるのかな、と思います(そうすることによって、自分自身を精神的にリセットする)。自分の身体感覚に極度に集中していくと、「座禅」「瞑想」に似た神秘体験に近づいていくのかもしれません。『かもめ☆チャンス』の第1巻〜第5巻辺りを思い返してみて、あぁなるほど、と思いました。
155ページ程度。

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