「『図解入門 よくわかる高校数学の基本と仕組み』☆☆☆」
数学・統計学
『図解入門 よくわかる高校数学の基本と仕組み』
小島 淳子(著)
2004年
秀和システム
☆☆☆
表紙に「社会人のための再入門」とあった。本書のコンセプトを一言で表せば、まさにこういうことなのだと思う。
「数と式」「集合」「2次関数」「方程式と不等式」「指数・対数」「三角関数」「数列」「微分・積分」「図形と方程式」「ベクトル」「確率・統計」に各1章を割り当てた、全11章構成。練習問題は用意されていない。試験を受けなくてもよい人のための、試験直前総まとめ集みたいな感じ。数学的世界は見えてこないが、学校で習うことのポイントは簡潔に書いてある。数学的世界が見えてくるとか見えてこないとかそんなことどうでもよいではないかと思えば、確かにこれで充分なのかもなと思う。
表紙に「数学の基本をひととおりやさしく、ビジュアルに解説」と書かれている。これはまぁ事実だと思う。続けて「数学的思考力、センスが身に付く1冊!」と書かれていたが、これは誇大広告だと言わざるを得ない。1冊の本を読んだだけで、数学的思考力や数学的センスが身に付くわけがないのだから。そういうものは、数学的世界を何度も何度も自ら旅して少しずつ身に付いてくるものだ。
この本を読んで不思議だったのは…、この本に書かれているほとんど全てのことを自分は既に知っていたことだ。これは本当に不思議だった。何故なら、数学に関しては高校1年生のときの数学Iで私は挫折したはずで、今でも根強い数学コンプレックスをもっているからだ。数学ができないというのは思い込みに過ぎなかったのか? これには2通りの可能性が考えられる。1つは、実は私は数学が苦手ではないという可能性で、もう1つは、試験に合格するような知識をもっていたとしても数学的概念や数学的世界を理解しているとは限らず、そういう人は(たとえ試験に合格しても)数学に苦手意識をもつという可能性である。どうも後者なのではないかと考え始めてきた。
本文約210ページ。

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