「『発作ゼロ・再発ゼロをめざす「心房細動」治療』(桑原大志)」
自然科学・工学・医学
『発作ゼロ・再発ゼロをめざす「心房細動」治療』
桑原 大志(著)
2016年
幻冬舎メディアコンサルティング
☆☆☆
心房細動の根治を目指す「カテーテルアブレーション治療」について、心房細動の専門医が一般向けに詳しく紹介している本。「アブレーション治療を受けてみようか」という心房細動持ちの人は読んでみるといいだろう。幻冬舎のグループ会社から刊行されている新書サイズの本だが、「幻冬舎新書」シリーズ中の1冊ではない(著者自身が原稿を持ち込んで出版した本?)。
4章構成。心房細動の概要、(対症療法である)薬物療法、(根治療法である)非薬物療法、生活習慣改善のポイント、といった内容。イラスト主体の本ではなく、やや硬めの文章だが、表現は簡潔、図表も多めのため、意外とスラスラ読み進んでいけた。ただし、お医者さん独特の言い回しや専門用語が説明抜きで用いられている例も多く、それを「読みにくい」と感じる読者もいるだろうと思う。
著者は日本での黎明期から約20年間で3000件以上のカテーテルアブレーション治療を行ってきたという第一人者で、その著者がアブレーション治療の技術について詳しく解説している第3章が本書のメインということになるだろう。「アブレーション治療について詳しく知りたい患者さん向けの本」という印象で、心房細動の概要について知識のない読者は本書の前に更に易しい一般向けの本を1冊読んでおいた方が理解が深まるだろうと思う。私自身は『
心房細動に悩むあなたへ(改訂版)』(山下(著) 2016年 NHK出版)を読んだばかりだったのでちょうど良かった。
一般向けに書かれた本だが、アブレーション治療のコツや注意点について医療従事者に対して情報提供を行うという意図もあるのかもしれないとも感じた。
本文170ページ程度。

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