『3時間台で完走するマラソン』
金 哲彦(著)
2006年
光文社
☆☆☆
光文社新書の「282」。サブタイトルは「まずはウォーキングから」。
ゼロから始めるマラソン入門。「3時間台」と聞くと「3時間05分」とか「3時間10分」とかを想像するかもしれないが、ここで言う「3時間台」とは「3時間59分」。つまり、「サブフォー」=「フルマラソン4時間切り」のことである。全くの未経験社会人を対象に、まずはウォーキングから始め、フルマラソン4時間切りまでを指南する、という内容。
全8章構成。「ランニングシューズ・ウェア」「体幹ウォーキング・体幹ランニング」「マラソン大会での走り方」「身体の痛み」「トレーニング方法」「身体のケア・リカバリー」「減量」「栄養学」といった内容。文字は小さめ、275ページくらいあるので新書としてはボリュームもワリとある。網羅的な内容だが、章立てにもう一工夫欲しかったような気も。また、フォームや身体の動きを文章やイラストだけで示すのには限界があるように思う。この辺りは他のDVDやインターネット上の動画等を参考にするなどの必要があるかもしれない。
30代半ばからジョギングを始め、フルマラソンや100kmマラソンの完走経験者として言わせてもらうと、「フルマラソン4時間切り」というのは、週3〜4回のジョギングが習慣化してしまえば、未経験者でも1年以内に達成できるタイムである。そういう意味では、これは「やるかやらないか」「ジョギングの習慣化に成功するか否か」の問題で、社会人にとって一番大変なのは日々のジョギング時間確保のタイムマネジメント。あとはそれを「楽しく継続できるかどうか」にかかっている。
僕は著者がメディアに精力的に登場し、「3か月でフルマラソン完走!」のようなTV番組や、多くの書籍・DVD等を世に送り出していることを好意的に評価している。「42.195kmなんて長い距離を自分にも走り切れるのだろうか…?」と不安を感じている初心者ランナーに「大丈夫! 出来ますよ!」と請け負ってくれる人が必要なのだ。「フルマラソン完走」は「出来る」と思えば出来ちゃう程度のものなのである(ただし、「出来ない」と思ったら出来ないかもしれない。人間誰でも30kmも走ればツラくなるように身体ができている。しかし逆に言えば、ツラいのは残りの12kmだけ。出来ると思えば完走出来るのだ)。
本書の内容はいたって真面目、教科書的なややお堅い雰囲気だが、「練習しなくても完走出来る!」「走れば良いことバカリ!」といった嘘がないのがいい(ケガや故障に悩まされているランナーは多いし、ジョギングするだけで人生が好転していくワケがない(笑))。それでも、著者の言う通り、誰でも「まずはウォーキングから」始めて、フルマラソンを「3時間台で完走する」ことは可能なのである!
本文275ページ程度。

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