「『マラソンは毎日走っても完走できない』(小出義雄)」
スポーツ
『マラソンは毎日走っても完走できない』
小出 義雄(著)
2009年
角川SSコミュニケーションズ
☆☆☆☆
「角川SSC新書」の「083」。サブタイトルは「『ゆっくり』『速く』『長く』で目指す42.195キロ」。
一般の市民ランナーを対象にマラソン(10km、ハーフ、フル)の練習方法について述べた本。既にジョギングを始めてだいぶ経つが、フルマラソン(42.195km)を完走できない(途中で歩いてしまう)、あるいは、どうしても4時間切り(サブフォー)を達成できない、という人にオススメ。また、それなりのタイムで完走できる人でも、マラソンの練習に必要なこと、練習メニューの作り方、大会直前の調整(コンディショニング)、等々、いろいろ参考になると思う。
全5章構成。各章題は「走るための準備を整える」「脚と心肺に負荷をかける」「レース出場に向けた練習メニューづくり」「メダリストたちのコンディショニング」「マラソン大会を走る」。文章は完全な口語体、専門用語もあまり使われておらず、一般の市民ランナーを対象とした講演会のような雰囲気で大変読み易い(ひょっとすると、ライターによる聞き書き、あるいは本当に講演会の内容を書き起こしたものなのかもしれない)。ページの上側の余白が妙に広く(笑)、160ページ程度とボリュームも少なめなので、サッと読める。
本書に示されているマラソン練習法のキモは「脚と心肺に負荷をかける」こと。初級レベルのランナーにも、インターバル走やビルドアップ走等、本格的なトレーニングを積極的に行わせている(ただし、走るペース自体は遅め)。そのため類書と比較すると、ややキツめの練習メニューが掲載されている。
小出監督の口調には独特の味がある。時にそういう話芸は、何の変哲もないありふれた話まで非常に説得力のある魅力的な語りに変貌させる。本書にもそういうキライはあるが、「何故こういった練習をするのか」について平易に語られているため、自分なりに練習メニューをアレンジできそうな気がしてくる。ここのところマラソンの練習法について解説している本を数冊読んできたが、初めて「この本のメニューを参考に練習してみよう!」という気になった。彼の術中にハマり、その気にさせられてしまっただけなのかもしれないが…、ここは一丁騙されてみようかと思う(笑)。
本文160ページ程度(他に、補強運動・ストレッチを図示したイラストが6ページ)。

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