「『決定版 センター試験 物理Tの点数が面白いほどとれる本』(鈴木誠治)」
自然科学・工学・医学
『決定版 センター試験 物理Tの点数が面白いほどとれる本』
鈴木 誠治(著)
2011年
中経出版
☆☆☆
「センター試験『面白いほど』シリーズ」中の1冊。人気(?)予備校講師による、センター試験「物理T」のための大学受験参考書。2011年刊行の本だが、(2011年に改訂される前の)2002年改訂の学習指導要領に対応した内容なのではないかと思う。今(2020年)で言う「物理基礎」に相当する内容か(同じ著者による『改訂版 センター試験 物理基礎の点数が面白いほどとれる本』(2017年 KADOKAWA)も刊行されている)。
「運動と力」約85ページ、「エネルギー」約50ページ、「波動」約110ページ、「電磁気」約65ページ、といった内容。「一応、最低限の勉強はしている」という人向け。「教科書を読んでもチンプンカンプン!?」という人が教科書の代わりに読む本ではない。まぁ、センター試験を受けるんだからねぇ…(笑)。
「はしがき」にある以下の文言が本書のコンセプトをよく表わしていると思う。
センター試験「物理T」を解く方法をまとめると、次のとおりだ。
@ 戦うための武器(公式や法則)を自分のものにする
A 問題演習を通して武器の使用方法を身につける
B スピーディーに解く方法を覚える
このコンセプトが本書全体を貫いている。まず、物理学上の概念・法則・公式等が簡単に示され、次に、簡単な問題の解き方を通して、法則や公式の使い方(問題に対する適用の仕方)が解説される。最後に、実際の問題を解く上での注意点がアドバイスされる。この方針が徹頭徹尾一貫している。
最初に示される法則や公式の説明はワリとアッサリしていて、やや端折り気味(少なくとも「言葉を尽くして説き尽くす」という感じではない)。その分を簡単な問題を解いてみせることで補っているようで、確かにそうしなければ(「考え方」を理解しただけでは)問題を解けるようにはならないのかもしれない。ただし、掲載されている問題数が少なく、またその難易度も低めなので、「この本で勉強しただけで、本当に『物理Tの点数が面白いほどとれる』ようになるのかな?」とも思う(笑)。実際の試験の難易度を反映した問題集が別途必要になるだろう。
解説がわかりやすい、良問揃い、といった内容の良さではなく(笑)、「コンセプトが徹底されている」という点に妙に感銘を受けた。おそらく著者のような人気講師であれば、コンセプトの異なる他の参考書も書いているのではないかと思う。自分に合うコンセプトの本を見つけ出すことができれば、受験勉強の心強い友となってくれるのではないか、と感じた。
325ページ程度(他に「さくいん」として4ページ、重要項目のマインドマップが10ページ)。

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