2010/2/14  20:35

オーブリー&マチュリン「21」(その25・終)   パトリック・オブライアン

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「喪に服するH.M.Sサプライズ号」パトリック・オブライアン追悼 2000年1月

前回の決闘の後、「大恥をかいたミラー大尉は旗艦のキャビンに閉じこもり、めったに顔を見せなくなった」という噂話を、キリックがミラーの召使から聞きこんで、大喜びでサフォーク号内に広めている...というところで、オブライアン氏の遺稿は途切れています。

この、最後のエピソードが意味するところは、スティーブンはもうほぼ間違いなく、クリスティーンと結婚するということでしょうね。お幸せに...

途中で遺稿が途切れてしまったのは本当に寂しいのですけど、反面、こうしてジャックの家族もスティーブンの家族も一緒にいるところで終わっているのは、なんだか嬉しいです。この後、家族も一緒にずっと航海を続けたような気がするのですよね。

「21」の本には、この後リチャード・スノーによる「あとがき」があり、裏表紙はジェフ・ハントによる上のスケッチになっています。このスケッチに添えられた文章を訳して、「21:The Final Unfinished Voyage of Jack Aubrey」の紹介の締めくくりとしたいと思います。

「この『愛しのサプライズ号』の小さなスケッチを、追悼のために捧げたいと思う。エリュシオン海(※)のどこかを航海していたオーブリー艦長は、しばしの間錨を下ろし、彼の創造主に礼砲を捧げることにした。海軍のしきたりに従い、ヤードは傾けられ、旗と三角旗は半旗に垂れさがり、大砲は礼砲の音を轟かせた。艦上ではおそらく、総員の点呼が行われ、皆が黒を身につけ、剣は逆さに掲げられ、葬送行進曲が演奏されたことだろう。しかし、長くは続かない。捕まえなければならない潮があり、利用しなければならない風がある。彼女は、一刻も無駄にできないのだ。彼は逝ってしまったかもしれないが、サプライズ号と彼女のおなじみの乗員たちは、我々の心の中を永遠に航海し続ける。」〜ジェフ・ハント 2000年1月

※Elysian Seas:Elysianはギリシア神話に登場する死後の楽園で、神々に愛された英雄たちの魂が暮らす世界。



2010/2/15  21:03

投稿者:Kumiko

じゅうばこさん
お忙しい中、ご来訪ありがとうございます。

オブライアン氏自身は、締めくくりに向かって書いていたつもりはなかったのでしょうね。だから悲壮感というものがなくて、「いつもの調子」で終わっているのが、なんともいい感じです。死の直前まで元気だったのもわかりますし。

最後まできたせいか、なんとなく1巻を読みなおしたくなっています。そういえば、1巻のジャックとスティーブンの出会いを、ダルタニアンと三銃士の出会いにたとえている評論を読んだことがありました。


2010/2/14  23:42

投稿者:じゅうばこ

年末から正月にかけて、公私ともにとんでもない仕事ばかりが舞い込んで、感想もお礼も書けないままでした。

この原稿も次第に終わりがせまるのが恐いやら辛いやらで片目をつぶって読んでいました。
でも、どんな長編小説も(三銃士とか水滸伝とか)終わりはだいたい皆ものすごく寂しく悲しいのを思うと、こういう終わり方は逆に救いだなあと、今はしみじみ思います。オブライエンさんもある意味満足しておられるのでは…。

長いことほんとにありがとうございました。もう一度ゆっくり読みなおしたいです。


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