2004/6/30  20:06

ハリー・ポッターとアズカバンの囚人  ハリー・ポッター

本当に本当に楽しかった。1800円で映画を観たのは3ヶ月ぶりぐらいですが、このワクワク感にくらべたら安いと思えるぐらいに。だから、後でいろいろ文句みたいなことも言うけど、気にしないでください。

私はハリポタは3巻だけ限定で「熱心なファン」です。(他の巻は、好きだがファンというわけではない。)だから、3巻の映画化が前2作より格段に良い出来なのは嬉しい。(前2作の出来が特に悪いわけではないけど。)

ヒッポグリフの造形は、今までこのシリーズに出てきたどのクリーチャーより良いし、「忍びの地図」のデザインには本当に感心しました。前2作のハデハデから、全体にダークなトーンに押さえてあるのもいい。「バットマン」から「バットマン・リターンズ」への変化みたいなもんで、前作を引き継ぎながら、より暗くなり、character-drivenになり、センスがよくなった。

そして、ゲーリー・オールドマン、デビッド・シューリスを始めとする、大人の俳優陣のすばらしさ。そして、常にこのシリーズの最大の輝ける星でありつづけるハーマイオニーのカッコよさ。なんだ、完璧じゃないか、と思いながら観ていました…最初の2時間は。

そう、残念なのは…この映画の唯一最大の欠点は、「解決編」があまりにも急ぎすぎで説明不足なことです。私は原作を英語と日本語両方で何度も読み返している人なので、こういう仮定に立つのは難しいのですが…これ、原作を読んでいない人には、よくわからないんじゃないかと思う。

以前に私は、「映画を必ずしも映画単独で評価する必要はない、原作とセットになっているという映画もアリだ」という意味のことを書いたのですが…この映画の場合、全体的に良く出来ているだけに、終盤の説明不足のせいで映画自体として傑作になりそこねているのが惜しいのです。

まあこの「解決編」は、原作でもある人物の長台詞のみで説明されていて、一回読んだだけではわかりにくかったところです。映画化は難しいだろうなーと思っていたのですが。だからこそ、いっそ回想シーンなどふんだんに取り入れて、じっくりやって欲しかった。それは私が個人的に「親世代」のファンだからというわけではなくて…やっぱりあの友情と裏切りのドラマが、3巻のキモだと思うのですけど。

また伏線として、「ピーター・ペティグリュー」の存在がこの解決編のポイントになっているのだから、あらかじめしっかり紹介しておくべきだったと思う。特に、彼の死因が「シリウスの起こした大爆発」であり、「死体が指一本しか見つからなかった」ということを。「犯人と被害者のトリック」…ミステリの基本です。

そう、前にも書いたけど、「ハリー・ポッター」シリーズって、ファンタジーでありながら話の基本構造はミステリなんですよね。だから、「事件のあらまし」「容疑者」「手がかり」はちゃんと提示しておかないと。

ハリーが地図にペティグリューの名前を見つけたり、それをルーピンに教えたりする原作にないシーンを入れたのは上手いと思う。でも、ペティグリューがなぜ重要なのかわからないのでは何にもならない。

ルーピン関係の伏線もはしょりすぎ。終盤でハーマイオニーが「あの薬は飲んだの?!」と叫ぶけど、だったら要るでしょう、「あの薬」のシーンは。それからたとえば、「ルーピンの前で変身した『まね妖怪』を見て、ふと眉をひそめ首をかしげるハーマイオニー」とか「宿題をしながらはっと息を呑むハーマイオニー、資料の本の動く写真のアップ」とかの短いカットをはさんでおくだけで、最後の唐突さはだいぶ薄れると思うのですが。

そんなシーンを全部入れていたら時間が足りないだろうって?それなら代わりに、ホグズミードのシーンをそっくりカットしてはどうでしょうか。ピーター・ペティグリューとシリウスがハリーパパの親友だった話、殺人事件のあらまし、全部まとめて最初にロンパパが話してしまうのです。そうすればハリーが盗み聞きするシーンは必要ないし、「事件の背景説明」と「真相の暴露」が1回づつになって、かえってわかりやすかったのではないかと思いますが、どうでしょうか。まあ、いまさらまったく意味のない提案ですけどね。

褒めるつもりなのに、どうも文句の方が長くなってしまうなあ。でも、そこんとこを除けば良かったのですよほんと。

最後に褒めておこう。クディッチやキングス・クロス駅やクリスマスやゆかいなゴーストなどといった1〜2作で紹介済みの要素をばっさり切って、テーマを「ハリーと亡き両親との絆」に絞っているのはいいと思います。

恐怖に勝つのはユーモアだ」ということ、「幸福な記憶は絶望に打ち勝つ力がある」ということ−原作で魔法を通じて語られるテーマが、ハリーの「最も幸福な記憶」の設定を原作とは変えることで「取り返しのつかない大きな喪失(愛する人の死)にどう対処するか」というもう一つのテーマと繋がってくるあたりも、うまいなあと思いました。

まあ、とにもかくにも、映画を観るのにこんなにワクワクしたのは、去年の11月に「マスター・アンド・コマンダー」を初めて観たとき以来ですから。

ところで、映画館に入る前にちょうど、銀座をナイト・バスが走っているのを見ましたが、あれは何だったのかなあ。




※投稿されたコメントは管理人の承認後反映されます。

コメントを書く


名前
メールアドレス
コメント本文(1000文字まで)
URL




teacup.ブログ “AutoPage”
AutoPage最新お知らせ