2007/5/18  19:28

デッド・ゾーン #1-9「ジグゾーパズル」〜刻々と変化する未来  海外ドラマ:デッドゾーン

このシリーズは基本的に「一話完結」なのですが、「一話完結だから、どのエピソードから見てもいい」という意見には、私は反対です。各エピソードは一話完結でありながら、物語の大きな流れに向かって、ひとつひとつ布石を積み重ねていっている、という部分があるからです。

このシリーズが他の「超能力者モノ」と違う点のひとつは、「主人公の能力が正確にはどういうものなのか、物語が始まった時点では本人も把握していない」というところです。マニュアルのない機械みたいなもんで、とにかく毎回毎回、一見ランダムに現れるわけのわからんヴィジョンを頭をしぼって解釈しつつ、最良の使い方を必死で探りつつ、経験から一歩一歩学んでゆくしかない。

この第9話、単に「今回はジョニーが銀行強盗事件を解決する話」として楽しんでも、それはそれで一向に差し支えないのですけど…実は「布石」という意味では、第1シーズンの最重要エピソードのひとつだと思っています。

<今回はネタバレなしですが、長いので…>

原作では、ジョニーの見る「フラッシュ」は過去または現在のことが多く、実は「予知」と言えるものは数例しか出てきません。(そのうちの一つが、とてつもなく重要なものだったのですが。)そしてその「予知」はどれも、「ある事態を予知する⇒それを防げるか、防げないか」というストレートなものでした。

それに対し、ドラマ版独自のテーマのひとつとして、このエピソードで初めてはっきり示されるのは、未来というのは「ある事態が防げるか、防げないか」という二者択一ではなく、一つ一つの行動によって結果が無限のバリエーションで刻々と変化してゆくということです。

もちろん現実の世界でも、未来とはそういうものですが…それを物語で表現するのはとっても難しいですよね。このエピソードはそこのところを、「銀行に立てこもった強盗と人質」という、空間的にも時間的にも限定された設定を使って、非常にうまく、分かりやすく作っていると思います。

「刻々と変化する未来」というのは、この後のシリーズにも何度も出てくる設定であり、また全体の大きな話の流れにも深く関わっています。いわば、このエピソードはその「テストケース」と言えると思います。

「些細なことを変えるだけで、全てが変わる」「ジョニーの予知を変えることができるのは彼自身の行動のみ」…という、このシリーズの基本設定は第2話にも出てきたのですが、このエピソードでは、それをより明確に提示しています。

「今のままではこうなってしまう」ということは分かっても、どうすればその結果を改善できるかは分からない。ヴィジョンは解決方法を示してはくれない。よかれと思って取った行動が、かえって事態を悪化させるかもしれない。でも、「自分が予知した結果を変えるためには、自分が行動する以外にない」ということだけははっきりしているので、とにかくやってみるしかない。好ましい結果が見えるまで、一瞬一瞬の即興で、自分の良心とめいっぱいの知恵に従って、とにかく行動しつづけるしかないわけです。

サラ:解決方法は見えた?(Have you seen a way out of this?)
ジョニー:その場その場で対処するしかない。(It's a moment to moment proposition.)
サラ:人生と同じね。(Just like the rest of life.)


サラの言うように、別にサイキックじゃなくったって、普通に人生そういうもの…というか、そうあるべきものなのかもしれない。

でも、この「最悪の未来が見えてしまう上に、それを変えられるのは自分だけ(自分が行動しなければ必ずそうなる)と知っている」というのは、ものすごい重荷ですよね…

「大きな力には大きな責任が伴う」というのは「スパイダーマン」のセリフですが、ジョニーの場合、責任ばかり限りなく重くて見返りはまったくない、とてもじゃないけど割に合わない「力」なのでした。

ジョニーはいつも(少なくとも、第1シーズンのこの時点では)それに迷いなく真正面から取り組んでいるのが偉いなあ。時々、彼に「見える」ことより、それに対して彼が取る行動の方がよっぽどすごいと思える時がある。そのへんが、いわゆる超能力者ものとは一線を画しているところなのかも。





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