2009/10/21  20:57

先週のThe Daily Show〜アル・フランケンと30人の共和党員(その2)  ジョン・スチュワート

昨日のつづき。

The Daily Show 2009/10/14 Rape Nuts

「The Daily Show」のこのセグメント内には、この事件そのものに関する詳しい説明はないので、他の新聞で読んだことを補足しておきます。

2005年、ジェイミー・リー・ジョーンズという当時19歳の女性は、KBR社(当時ハリバートンの関係会社、後に合併)に雇われてイラクに行き、そこで働いていました。ある日彼女は同僚の男性たちに薬を飲まされて意識不明になり、翌日、重傷を負い、明らかに性的暴行を受けた状態で目覚めました。警察に通報しようとしたところ、KBR社は武装した警備員をさしむけ、彼女をコンテナの中に丸一日以上、水も食べ物も怪我の手当てもなしで監禁したそうです。幸い、彼女は携帯電話を見つけ、アメリカの父親に電話しました。父親はすぐに地元テキサスの下院議員に訴え、この議員が政府に訴えたことで、イラク駐在のアメリカ軍が現場に急行し、彼女は救出されました。

不運なことに、彼女は意識不明だったために犯人たちの顔を覚えていませんでした。(後に一人が自白したため、KBR社の同僚だったことは判明。)またイラクで起こったことなので、アメリカの警察が事件そのものを捜査することはできません。

しかし、そのような職場環境を放置した事、暴行犯の同僚を特定して罰する努力をしないどころか犯人を庇ったこと、証拠隠滅したこと、何より彼女の通報を防ぐために監禁したことなどに対し、ハリバートン/KBR社に対してアメリカの法廷で賠償を求めることは、当然できるはず。ところが、そこで出てくるのが、彼女が結んでいた契約の中にある「調停条項」なのです。

前回に書いたニュースキャスターの言い方を聞くと、「『同僚にレイプされても訴訟を起こさない』なんていう契約にサインするのが、そもそもおかしいんじゃないか」と思うかもしれませんが、もちろんそういう言葉では書いてあるわけじゃないのでしょう。はっきりとは知りませんが、多分、「従業員間に起きた法的な争議は、すべて社内に設置する調停機関を通じて解決するものとする」とか書いてあるんだと思います。

この「社内の調停機関」というのがクセモノで...セクハラやパワハラなどの問題を解決するために社内に調停機関を設けてますよ、というと聞こえはいいんですが、これには法的拘束力も情報開示義務も第三者の査定もなく、つまりは会社側の都合のいいようにできるようなのです。

まあ多分この条項は、元々はこれほどひどい状況を想定したものではなく、環境の悪い職場でセクハラや差別の訴訟がたくさん起こると弁護士費用がかさむから、その防止として契約書にすべりこませてあるのでしょう。でもこの条項が、ジェイミーさんのレイプ被害を法廷に持ち込むことを阻むことになったのです。

彼女は解放されてすぐ医師の手当てを受け、DNA鑑定で犯人を特定するためのいわゆる「レイプ・キット」の検査も受けたようなんですが、「社内の調停機関で解決する」という取り決めがあるために、なんとこの「レイプ・キット」はハリバートン/KBR社に渡されてしまい...同社はこの証拠品を都合よく「紛失」してしまったそうです。

それでもジェイミーさんは諦めずに訴え続け、4年以上経った今年の9月になって、ようやくこの事件を法廷に訴えることが認められました。そして、この事件のことを知った新人上院議員のアル・フランケンが、「政府が企業を雇う時にはもっとよく気をつけて、少なくとも、従業員に対してこんな非人間的な扱いをするけしからん会社を、納税者の貴重な税金で儲けさせることのないようにしようじゃないか」という法案を提出したわけです。

ジョン・スチュワート:もし、全会一致で可決されるべき法案があるとしたら、この「フランケンの政府契約企業反レイプ法」こそ、それなんじゃないの?

レイチェル・マドウ(MSNBCの人気キャスター):この修正案に反対票を投じた議員は、次の30人です...

ジョン:アメリカが分断された国だっていうのは分かってる。健康保険制度改革では、意見が分かれることもあるだろう...でも、いったいどうしてこれに反対するんだ?


マスコミでは「アル・フランケンの反レイプ修正案」と呼ばれるようになったこの法案、めでたく可決されましたが、全会一致ではなく、賛成68:反対30でした。現在アメリカ上院の構成は、民主党60人:共和党40人。この修正案に賛成したのは、民主党60人のうち出席していた58人全員+共和党議員10人(共和党の女性上院議員4人全員を含む)。残りの共和党議員30人は、反対票を投じました。

反対票を投じたこの30人の男性共和党議員たち(ジョン・マケインも含む)は、「ダーティ・サーティ」、「レイプを支持する共和党議員の会」などと揶揄されるようになったのですが...まあ、公平を期して言えば、それは言いすぎかもしれません。この30人の共和党員が守ろうとしているのはレイプではなく、ハリバートン社なのですから。ただ、ディック・チェイニー前副大統領の(元の)会社の利益を守るためには、レイプ被害者が犠牲になるのはしょうがない、と言っているだけで...

つづきます。




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