◎明けましておめでとうございます。実戦次の一手コーナーはいろいろとチャレンジしていますが当分は村山聖の次の一手にします。今までは3問出題でしたが、今年から一日一問とします。No10は全部で5問です。
☆村山聖の思い出を、ばらばらですがまとめておこうと思っています。今までもいろいろ質問されたり、講演でも話したりしていたのですが、歳月とともに記憶も薄らいでいくようです。
☆村山聖の思い出@
はじめのいきさつ
初めに私の弟子になる話があったのは兄弟子のT七段からの電話だった。それからしばらっくして師匠(故南口繁一九段)に相談に行った。びっくりされたようだが「森君もそろそろいいかもしれないなあ}とOKの返事をもらった。
初めて会ったシーンは、関西将棋会館の道場である。今までに何度も質問されて来たのだが、その前に履歴書を見て、ネフローゼのことは、病名だけは知っていた。正直なところ、病気がちでは棋士になるのはまず無理なので、断る説得も含めて、取り合えず会ってみようの考えだった。
まずお母さんに会って、それから「聖は今道場で対局していますので、呼んで来ます」村山聖との出会いの瞬間だった。
病気がちの弱弱しい雰囲気と、妙にふてぶてしいものと、何よりも照れくそうに顔を斜めにする独特のポーズが可愛かった記憶がある。
「靴下を履かんとあかんで」白いカッターシャツの袖を捲くり、靴下も履いていないのに唖然として素直にそう言った。すでにお母さんのいうことをきかないガンコな面が出ていたようだ。
このシーンは何度も何度も尋ねられたのだが、その都度、私の答えが微妙に変わっている気もする。
よもやそのときは、こんなに深い縁を持つとは夢にも思っていなかった。不思議であるが、偶然ではなかった気もする。
No10第1問解答
▲7九歩
底歩は固いのだが、持久戦になると、ともすると歩が効かなくて失敗する。この場合は戦いが治まらないんで、実戦的な好手だったようだ。

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