ベネッセコーポレーションが先般、小学校の英語必修に関する面白い調査
結果を発表しました(5月3日付朝日新聞)。
中学校の英語教員の68.7%が、小学校で英語を必修化しても「将来的に英
語を話せる日本人が増える」とは考えていないそうです。
5年生と6年生とが週1コマ、2年間で計70コマ。
1コマ45分として合計3,150分。時間にして52.5時間。
この程度の学習で、劇的な効果がでるわけがありません。
必修化のためには、嫌がる小学校教員に英語指導の研修を実施しなければ
なりませんし、さまざまな学習ツールも作らなければなりません。経費もバ
カにならないでしょう。
ならば6年生を対象に、2泊3日の英語体験キャンプでも行った方がはるか
にマシではないか。少なくとも小学校段階から「英語嫌い」を作り出すのは
避けることができる。そう私は思っています。
さて、このように、決まってしまったことではありますが、小学校英語の
必修化にはいまだに反対意見が少なくありません。
にもかかわらず、なぜ文科省は強行するのか。
英語同時通訳であり異文化コミュニケーション論の専門家・鳥飼玖美子さ
んがこう述べています(『危うし! 小学校英語』文春新書)。
「英会話コンプレックス」と「早くやればペラペラになる幻想」に裏打ち
された「親の過剰な期待」と、「英語が使える人材」を採用したいという
「実業界の思惑」が一致して「世論」を形成し、それが大きな原動力となっ
て、文科省や中教審、あるいは政治家を巻き込んだ動きとなった。その結果
が「小学校英語」必修化なのです。
2つの圧力が産みだした産物なんですね。
ところで、われわれは塾業者です。実業界の思惑は軽視しても構いません
が、「親の期待」には応えないと商売になりません。
では、親は、具体的にはなにを期待しているのか。
3月にベネッセが行った保護者へのアンケート調査の結果が4月23日、同
社から発表されています(
http://benesse.jp/blog/20090423/p1.html)。
「3つを選択」という指定で、以下、回答の多かった順に。
英語が好きになること 56.5%
外国に興味や関心を持つこと 50.1%
外国の人と抵抗なく接することができること 48.5%
外国の文化や習慣にふれること 30.0%
挨拶以上の、簡単な英会話ができること 20.9%
英語で挨拶ができること 18.0%
ちなみに、こんなのもありました。
アルファベットが書けること 11.4%
中学に行ってからの英語の成績が上がること 7.6%
まずは「好きにさせること」、全力を集中すべきはここのようです。
「はえば立て、立てば歩めの親心」ですから、回答の多いものだけで済む
とは思えませんが、方向性は見えています。
それとこの順序、宣伝広告のキャッチには使えそうですね。

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