映画歴代興行収入1位になったり、漫画単行本1億2000万部突破して
2020年の顔と言うべき存在になった鬼滅の刃
我が家も漫画を買ってみたり、グッズが気が付くと増えていたりして
すっかりハマッテいる訳でして…
小学生がハマっている理由は前回までで考察しましたが
今回は、ある意味子供よりもハマっているパターンを多く見かける
何故、鬼滅の刃は親世代にキタのか?を考察したいと思います。
★王道ジャンプ漫画との違い
少年ジャンプのテーマと言えば
「努力、友情、勝利」である
鬼滅にも、これらの要素は入っているのは間違いない
主人公である炭治郎は努力をして強くなり、仲間との絆で勝利を掴む。
展開自体は、ジャンプの王道に沿っているのは間違いない
しかし、他の王道ジャンプ漫画とは違う部分があるのも事実である。
王道ジャンプ漫画にありがちな話として…
・戦っていた敵が味方になる展開
・味方に裏切り者が出る展開
・主人公の所属している組織が旧態依然な組織をしていてそれをブチ破る展開
・主人公一行が物語の鍵を握っている
・大男はかませキャラ
・女性キャラは最終局面では出番少ない
・1対1の戦闘が続く(トーナメントや総当たり戦など)
上記のようなものがあるが、鬼滅には一切なかった要素でもある
特に、敵が味方になる展開が無いのは意外であった
鬼になるきっかけの多くが世の中への絶望だったりして
「鬼にも悲しい過去が…」という話が最初から多かった中で
禰豆子や珠世が無残の支配から逃れたように
何かの切っ掛けで、支配から逃れ味方になる展開があっても良かったのでは?
と思ったものだが、人間時代が悲惨な結末で、仲間キャラに居てもおかしくない
猗窩座ですら、あっさりと退場させたのは意外であった。
味方に裏切り者が出るという展開も最初の柱合会議で
風柱や蛇柱辺りは、性格悪そうなフラグを立てて
裏切り物が出るかも!?という展開もあるのかなあ?と思っていたが
これも一切なかったのは最近の漫画では珍しいパターンである。
大男はカマセという少年漫画にはありがちな要素も
鬼殺隊の大男「岩柱、悲鳴嶼行冥」はカマセ所か
人間側としては現役最強(歴代なら緑壱なのは確実だが)
というのは最後まで明言されているし。
物語のキーポイントは女性が握っており
禰豆子の血が重要な要素を握っているほか
珠世や胡蝶しのぶの
「毒」が無残討伐において
とてつもなく重要な要素であったとか。
少年漫画の多くが、単純な戦闘力の強さで結末が決まる中
敵を弱体させる、戦闘部隊でない人がカギを握っているという展開は
今までも多少あったにせよ、ここまで物語の中心になっているのは稀である。
王道漫画なら、炭治郎が日の呼吸を極めて最強になる展開もあり得たろうし
かまぼこ隊の面々が柱を超える実力を身に着けていたところだろう。
だがそれをしなかったのは何故なのか?
それは、この作品の最大のテーマである
「絆」に関係がある
そして、主人公一行が最強にならないが故に
大人たちの心に刺さったと言えるだと考える訳なのです。
★すべての人の行動に意味があり結末に向かっていく
鬼滅の刃のストーリーにおいて
「繋ぐ」と言う事が何よりも重要とされている。
作中で最強の存在であった
「継国緑壱」ですら
無残を倒す事が出来ても、滅ぼす事が出来なかった
どんなに強くても、一人では滅ぼすことは出来ない
滅ぼす事が出来なかった緑壱は、当時の鬼殺隊から責められ
その後、当時の鬼殺隊は壊滅寸前まで追いつめられることになる。
しかし緑壱の行動は意味がなかったわけではない
鬼殺隊に残っていた日の呼吸の使い手はいなくなってしまったが
炭治郎の祖先である、炭吉に日の呼吸を見せていた事によって
炭治郎が日の呼吸を使えるようになったし。
耳飾りを託したことによって、無残が尻尾を出し物語が動き始めたり。
無残を倒したときに傍にいた珠世を見逃したことにより
結果的に無残を滅ぼすことに繋がるなど。
巡り巡って、成し遂げたいという思いが形になるという
人間賛歌が最大のテーマである事だろう。
そして、物語は鬼の居ない世界になるという
ハッピーエンドで終わる事も、この作品の良さと言えるだろう。
何かを成し遂げるために、時には犠牲も厭わず
想いを繋げていく、この行為は親が子に託す行為に似ている。
映画の煉獄さんにしても「心を燃やせ」と
死の淵に立ちながらも、後輩である炭治郎達に
立ち向かう心の強さを刻み込むなど。
繋いでいく物語が親世代にガッツリ刺さったのだと思われる。
何気ない日常ですら、何かに繋がっていくのかもしれない
人間社会は、常に新しい世代に受け継いでいかなければならない
親世代としては、そんな自分たちも応援されている気がするストーリーなのだ。
★鬼舞辻無惨という2020年における最高の悪役
鬼滅の刃のラスボスである鬼舞辻無惨はとてつもなく理不尽な存在である
太陽の日以外では滅ぼすことは出来ず、戦闘力も半端ではない
仲間や部下であるはずの他の鬼たちも自分の手駒としか思っておらず
役に立たないと思えば、思い付きで殺してしまうぐらいに理不尽である。
彼の前では正論も意味無いし、正義も愛情も道理も通じない。
無惨の目的は太陽を克服し究極の生物になる事のみで
社会を自分のものにしたいとか、世の中を支配したいという思惑は一切ない
ある意味ウィルスのような存在である。
鬼殺隊を全滅させると思っても、日の出が迫れば逃げ出すという
少年漫画にありがちな、正々堂々と戦う悪役とは一線を引いていると言って良い。
2020年と言えば、世の中がコロナに理不尽な生活をさせられたわけで
多くの人達が、この理不尽な怪物にヤキモキしているところである
そんな中、理不尽の権化とも言うべき鬼舞辻無惨が倒される物語と言うのは
世の中の人達がスッキリしたいという欲求を叶えるものだったのかも知れない。
★揃えやすいマンガとグッズ
鬼滅の刃のコミックスは全23巻、すべて定価で購入しても
11132円と言う手を出しやすい値段である事も大ヒットの要因の一つと言える
これがワンピースのような長寿漫画なら最初から揃えようとすると
なかなか手を出すには躊躇する値段になってしまうのだが。
面白いから揃えてみよう!という気持ちにさせてくれる値段設定と言えよう
そして、小学生の時でも述べたように和柄と言う普遍的なもので表現できる
鬼滅グッズは大人でも普段使い出来るのはとてつもなく大きい。
※まとめると…
鬼滅の刃が、大人の間でもヒットしたのは
敵味方が分かりやすいストーリーで、人間賛歌の話であり
しっかりとしたハッピーエンドで終わる事。
自分の子供にも伝えやすい、目標に向かってやり遂げる大切さを
教えるのに適している漫画であり。
すでに連載終了している話だったので途中から参加しても
話を理解しやすかったことなどがありますね。
何よりも、この新型コロナウィルスで疲弊していた日本人が
ウィルスのような存在である鬼舞辻無惨を倒すというストーリーと
劇場版のストーリーである、真の強さとは何か?
人間の強さとは何か?というストーリーも
コロナに立ち向かう力を欲している大人たちに響いたのではないかと思いますね。

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