前回の日記でもアップしていたが、某ビルの半地下駐車場の改修工事を依頼されていた。
時々異臭がするという事で、いっそのこと、改修してしまおうか?という事で下調査。
まず、コンクリートの下はどうなっているのか?、コンクリートの厚さは?、そして、異臭の原因は?・・・と言うことで、ビルの所有者が床に穴を明けてくれることになり筆者は立会いに出向く。
午前10時前、ドリルでコンクリートに穴をあけ始める。すると、10分も経たないうち、そしてコンクリートを突き破る前に「ガス管」を直撃してしまったようでドリルの穴からガスが噴出。
すぐに、消防と東京ガスに連絡。15分後には周囲が立ち入り禁止と火気厳禁になる。
しかし、図面にはガス管は記載されていないし、建築の常識と筆者の経験上、スロープ状のコンクリートにガス管を埋設させる事はありえない。
作業をしていた人も「コンクリートの感触だけでガス管に当たったような手ごたえはなかったんだけど・・・・」と言っている。
東京ガスの担当者は「ビルの仕切り弁を閉めたがガスが止まらない。昔のガス管で撤去されていない所謂「幽霊管」かも知れない」ということで周囲のコンクリートを壊して直接的にガス管を修理する工法を選ぶ。
コンクリートを壊す部隊が到着。早速ガス漏れ場所付近のコンクリートを壊し始める。
この時、ちょうど正午頃。
しばらく、作業員の方がコンクリートを壊し続ける。すると、20p以上の厚さのあるコンクリートの下は空洞になっており、そこから都市ガスとは違う匂いのガスが発生しているという事で建物の外部に飛び出してくる。
別の担当者が検知器で調べたところ
「硫化水素だ!」と言うことになる

。
今度はすぐさま消防の「危険物担当(化学物質担当?)」の方も駆けつける。
消防士は「ガスマスク」を装着して現場付近で処理の準備にあたる。毒性の強い「硫化水素」という事で立入禁止区域が広がる。50m四方程度の広さだったろうか?。
この時点で午後1時30分前後。消防や警察がスピーカーを通して近隣に警戒を呼びかけている。
筆者は別の場所で打合せがあるので、一旦、現場を離れ、午後4時頃、現場に戻る。
騒動は治まるどころか、立ち入り禁止区域は広がり、路線バスまでもが迂回運行する始末。東は200m、南は100m(駅ロータリまで)北は300m(幹線道路との交差点まで)西は100mとちょっと(JRの線路まで)程度までが立ち入り禁止となっていた。
ガスの処理、発生を抑える作業は消防・東京ガスにお任せだが、ビルを所有している不動産会社、新築した時のゼネコンの方々も集まり、建物の構造や今後の処理について話し合う。
午後6時前、ようやく、地下の空洞部分への水の注入が完了し、とりあえずはガスの発生を押さえ込む。
しかし、結局、発生源は特定できず、今後の発生の可能性もあるとの事で、とりあえず穴に土嚢を積み上げる。
しかし、土嚢だけでは心もとなく、消防へは鉄板でふたをする事を申し出て、ご了承をいただく。
鉄板とコンクリートの隙間はシリコン樹脂でシールしたので当面はガスが発生しても漏れる事は無い。
立ち入り禁止が解除されたのは午後6時30分過ぎ。
周囲の飲食店には臨時休業した店も何軒かあったようだ。住民の方々も含め、とんだ災難になってしまった事だと思う。
筆者自身、とても興奮して疲れた1日だった。
今のところ、誰が悪いわけでもないのだが、一昨年、ビジネスホテルチェーンの
「東横イン」でも同様の事故があり、この時は
「人災」ということで逮捕者まで出たことが記憶に新しい。
今後、消防や警察、そして労働基準監督署などの指示とアドバイスを仰ぎながら原因解明に動く事となる。
尚、youtubeの投稿動画があったので、お時間が許せばご覧になってください。
↓ ↓ ↓ ↓ ↓
http://www.youtube.com/watch?v=uUKP1YyKyWs

0