『等伯』の稽古もいよいよ大詰め。土曜日で稽古は終了、日曜日を休んで月曜日には現地の能登入りである。
稽古大詰めとなった先日、いよいよ無名塾塾長、仲代達矢氏稽古場に堂々登場!稽古の総仕上がりをチェックする。
『友達』の時にも書いたが、この仲代さんが観にいらっしゃる時、稽古場は稽古場でなく本番と変わらない緊張に包まれる。千利休は15年程前の大河ドラマ『秀吉(主演:竹中直人さん)』で仲代さん自身が演じられた役である。その前で利休を演じるのは事の他、緊張するものだ。
無事稽古終了。『等伯』はまずまずの評価。『友達』の際もそうであったがこの時期の評価は演者に大きく影響を与える。基本的には悪い評価は与えないであろうが、不必要な勘繰りも無用!自信持って行こう!
「君は………すかした芝居もやるんだねぇ……」
仲代さんが僕にそう話しかける。
「仲代さん!どうでしたっ!?僕の芝居?仲代さんがやられた『千利休』も拝見させて頂きましたけど、何か(アドバイスが)ありましたら是非!」
「(仲代さん)いや…うん…いいよ。今ので。でももっと俗っぽい作りでもいいかもしれないね。」
「(僕)『俗』…ですか。」
「(仲代さん)役者はみんな、利休を演じると、『全てを悟りきった人間』のように役作りをしてしまうんだけど、もっと『俗な人間』っていうふうに作った方が面白いんじゃないかな。」
「(僕)じゃあ、『神様神様』したお茶の達人というよりも…」
「(仲代さん)うん…もっと『人間的』でいいと思うよ。」
「(僕)有難うございます!もっと『俗』な人間という作りか…」
《♪まーっちゃ!まーっちゃ!抹茶のマークの千………♪》
「(僕)……………………」
「(某先輩)おい、鎌倉、どうした?」
「(僕)……………はい?」
「(某先輩)なんか思いつめた目をしてたけど。」
「(僕)いや、なんでもないんです…」

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