僕らの座長、福田雄一は忙しい!今、この国で一番忙しい監督と言っても過言ではない!だから最近のブラボー公演の稽古場にもなかなか姿を現せない!したがって役者同士で稽古をしておいて本番前日に自分達でつくった芝居を福田さんに見せる。そこで福田さんはあれこれと指摘をする。あそこはこうやってくれ、とか、そこはそのままで良い、とか…。
役者には大変である。そのままで良い、と言われりゃ安心だが、自分達が練習してきたやり方と、福田さんが指摘するやりかたとが違った場合は、さあ!大変!大げさに言えば本番前日に役作りを作り直し、という可能性もあり得る訳だ!
〜本番前日〜
自分達の作った芝居を見せる。自分の帽子の色が分からないコント『何色?』も、プラットホームでの気まずい空気を描いたコント『出発』もどちらも僕らの演技は福田さんの狙いからは外れてないようだ。一応安心しそうなそんな瞬間…
「(福田さん)カマぁ!」
「(僕)はい?」
「(福田さん)お前さぁ、弁護人さぁ…」
【え?弁護人が何だろ?どこか悪いのかな?】
「(福田さん)ラが1個少ないぞ。」
「(僕)は?」
「(福田さん)いや、『ふぁらら〜』じゃなくて『ふぁららら〜』だからな。」
「(僕)え?」
「(福田さん)お前のは『ら』が2つじゃん!2つじゃ足りないんだよ。『ふぁららら〜』て3つ言わないと。」
「(僕)じゃあ、『ふぁらららら〜』ですか?」
「(福田さん)いや、それだと1個多い。3つじゃないと!『ふぁららら〜』だよ。」
「(僕)えっと…『ふぁらら〜』」
「(福田さん)いやだからそれだと、1個足りないって!」
「(僕)難しいですね…」
「(福田さん)『ふぁらら〜』と『ふぁららら〜』じゃ、笑いやすさが全然違うからな。『ふぁららら〜』じゃないと笑えないぞ!」
書いた人には書いた人の譲れぬこだわりだあるのね。細かい一言一句のこのこだわりがやがては大きな『ウケ』を生むわけね。

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