僕にとって、見てて少しだけ気持ちがいいものに、
髭そりがあります。
でもそれは電気カミソリでもなけりゃ、T字型カミソリでもない。床屋さんが使う1枚刃のカミソリ!危ないんだけどね、怖いんだけど、あれで剃ってるのを見ると妙に気持ちいいんだな。まるで剃られるヒゲ達の悲鳴のように《チリチリチリ…》と音がする。その音の後にはさっきまで黒々と生えていたヒゲはもうない。だから口まわりのいろんな所に刃をあてて探すんです。チリチリと音がなる所を。そこがまだヒゲが残ってる証拠。
僕も6年くらい前かな、『ドン・キホーテ』で床屋の主人の役をやった時、役作りの意味で公演中、自分のヒゲを1枚刃で剃ってました。やっぱり1枚刃ならではの気持ち良さがある!ただ!ただ!
やっぱり喉もとのヒゲを剃るのは怖いね。めちゃ怖い。ヒゲを剃ってる僕の後ろを誰かが通るだけでも一旦、剃るのをやめてしまう。だって喉もと剃ってる時に何かの拍子にそいつの体がぶつかったら…
僕、一瞬で死んじゃうかも!!

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