えー、秋は収穫の秋と申しまして果物なんぞも美味しい季節でございますが、この季節の果物の中に柿なんてのがございますな。この柿というものは果物の中でもちょいと変わっておりまして、普通、果物というのは大体が英語になっても馴染みあるものでございます。果物はフルーツ、苺はストロベリー、ミカンはオレンジ、リンゴはアップル、ブドウはグレープ、桃はピーチ、レモンやバナナ、メロンは英語に変えてもそのままでございますが、柿というものは英語でなんというのかさっぱり馴染みがありません。調べてみるとどうやら『persimmon(パーシモン)』というんだそうですな。やっぱりこの言葉は馴染みがない。それにこの柿ってのはあまりデザートやジュースのように加工をされてるのも聞いた事がない。柿ジュースてのも聞いた事はありませんし、アイスクリームやケーキになってるのも聞いた事がない。かき氷のシロップにしてもイチゴシロップや、メロンシロップ、レモンシロップ、マンゴーシロップなんてのはありますが、柿シロップはやはりない。ファンタグレープ、あー、ありますな。ファンタアップル、ありますな。ファンタオレンジ、ファンタレモン、ありますよ。ファンタ柿…いや、ありませんね。ファンタも手を出さない今、もはやガリガリ君にいちるの望みを託そうなんてな事を思っていますが。いやはや干す以外これといって加工しようがないようですな。えー、まるで俺を食いたきゃそのまま食いな、と言わんばかりのこの果物。似ても焼いても食えぬハードボイルドな孤高の果物。柿だけに渋い果物でございます。

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