《【爺さん】さんから友達申請がきてます。》
僕のスマホは、そう着信を告げている。
【爺さん】…?僕の爺さんはもう10年くらい前に亡くなった。
僕はおじいちゃんおばあちゃん子であった。幼い頃に母を亡くした僕や弟をじいちゃんばあちゃんはとても可愛がってくれた。だから必然的に僕もじいちゃんばあちゃんが大好きだった。
だからじいちゃんが亡くなった後も僕はじいちゃんの連絡先を削除する事が出来ず、僕の携帯アドレスには【爺さん】と書いた連絡先が今でも残っている。これがあると、なんだか連絡がとれそうな気がして…。
そんな【爺さん】から友達申請…。じいちゃんの番号を今は誰かがもらって、その人からたまたま申請が来たという事なのか…。
おそらく僕も【爺さん】もお互い面識のない者同士であろう。
でも、思いがけないこの10年ぶりのじいちゃんからの連絡に僕はなんだか不思議な気持ちになる。
【こんにちは。宜しくお願いします】
くらい送ってみようか、いや、送らない方がいいか…。
ノスタルジックな不思議な気持ち。8月の長い夜。


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