部屋の片隅から「ハムレット」の一部分を書き写したものが出てきた。10年前、無名塾入塾当初、練習させられた教材である。シェイクスピアの代表作「ハムレット」の主人公ハムレットは国王である父をこよなく尊敬する若き16歳(くらいだったと思う)のデンマーク王子。しかし権力欲に駆られた叔父に父を殺され、事もあろうかハムレットの母はその叔父と再婚してしまう。欲の為に兄を殺す弟。夫を殺した男と結婚する母親。「この世には嫌な事、辛い事が多すぎる。権力者の横暴、その権力者におべっかを使う人間、失恋の痛み、いばりちらす小役人・・。もう嫌だ。楽になりたい。死のう。」と短剣を胸に突き刺そうとした、その時、ハムレットは考える。「いや、待てよ。あの世って本当に楽な世界なのか?誰も知らないじゃないか。もしあの世がこの世より辛い世界だったらどうしよう・・。」ハムレットは自殺を思い止まる。「生きるべきか、死ぬべきか、それが問題だ・・。」のせりふで有名なこの場面。今、ハムレットと同じ年頃の子達が自殺するニュースを見る。この世を諦めた彼ら彼女らはあの世に何を期待したのだろうか?そして果たしてあの世で幸せに過ごせてるのであろうか。

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