「(僕)野村さんかぁ…」
「(野村君)いやいや!わざわざ俺を思い出さなくても俺、今、カマさんの隣にいるし!」
野村君がつっこむ。ブラボーカンパニーのミーティングの為、調布のとある事務所にブラボー役者が集まる。役者の山本さんがある提案をする。
「(山本さん)年末12月の公演『大洗に星はふるなり』に向けて、この夏、役者メンバーだけで実際に茨城県の大洗海岸に行ってみないか!?」
なるほど。公演の舞台となる大洗海岸の雰囲気を実際に肌で感じて来ようって訳ね!
その提案に皆、乗るもののだが実際皆がスケジュールの合う日がなかなか無い!発起人の山本さん!流石に六人全員揃って行く事にこだわっている。
「(山本さん)いや!俺は行くなら絶対六人で行くべきだと思うよ!とにかく1番大事なのはこの六人全員揃って大洗の海に行ったという事実が1番大事だと思うし!」
「(僕)いやでも山本さん!1番大事なのは全員で大洗に行ったという事実ではなくて、現地に行った事によって舞台の空間に大洗の匂いを出すことでしょ!いくら『俺ら、本当に大洗に行ったんです!行ったんですよぉ…』と言ったところで、その大洗の空気がでてなきゃ意味はあまり無いですよね!?大事なのは『行ったという事実』ではないと思いますよ。」
「(佐藤さん)でも行くにしてもいつ行くよ?野村は8月頭に舞台だろ?カマはマクベス稽古があるから日曜しか休めないんだろ?俺も8月は芝居があるし…なるべく7月中がいいよな…」
「(メンバーの誰か)そういや7月の18の土曜は確か調布の花火大会があるから…花火大会終わりでその足で週末泊まりがけで海に行くってのは?」
「(僕)花火大会でそのあと海って!40近くにもなろうというおっさん集団でしょ!?俺ら!どんだけ素敵な夏の幕開けですかっ!!」
「(メンバーの誰か)確かにアルバイト暮らしのオッサン連中にはありえない夏の幕開けだわな。こんな事してるとまた座長に怒られるぞ…」
「(僕)山本さんかぁ…」
「(山本さん)いや!俺も野村と同様、今、カマの隣にいるから!」
「(僕)山本さんねぇ…」
「(山本さん)いやだから!今実際にお前の横にいるんだから俺を思い出すなって!!思い出す必要がないだろっ!!」
いい年したオッサン連中のあほなミーティングに夜は更けていく…。

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