腰は日増しによくなっていく。朝、劇場に入るとすぐ僕は馬の足跡で荒れた外舞台の土をならすべくT字の用具を持ってならし始める。共演者の山本雅子さんがそれを見かけて、まだ無理して動くな、と僕に注意する。東京での稽古中、この雅子さんもギックリ腰をやってしまった為、特に僕に必要以外なるべく安静にしてろ、と注意を促すのだ。しかしこの腰痛ってやつ、では安静にしてようと一度座ったり、寝っころがって休もうものなら、今度立ち上がる時が非常に辛いのだ。ちょっとトイレへ。ちょっと冷蔵庫へ。それだけでも一苦労。まるでおじいちゃんになってしまったかのように
「アイテテテ…」
なんて言いながら色んなものにつかまりながらぐずぐずようやく立ち上がるはめになる。
だから変な話、一度立ち上がり動き出したらなるべく止めたくないのだ。キープしたいのである。その状態を。
腰をやってしまって四日目。今日から階段落ちを再開。無事クリア。完全復帰に向けて体調を回復させよう。
僕の携帯電話は開くと待受画面に自動的にニュースが帯状に流れる。
〜白血病の娘を刺した母親逮捕 娘は死亡〜
そんなニュースが右から左に流れていく。
悲しい。とても悲しい気持ちになる。娘さんもお母さんもどちらも不憫。どちらもとても辛かろう…
合掌。


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