Bパート冒頭。「教練対空戦闘」に出てくる軍事用語は、原作でもほとんどフォローされてませんので、私の解る範囲で解説を。
このシーンは、実際の自衛艦での訓練を取材して書かれていると想像します。マンガの方にも、基になったシーンはあるのですが、アニメの方でオリジナルに書き下ろしたシナリオですね。より緻密で、リアルな描写になっております。
ESM探知で、敵艦か敵機が、対艦ミサイル攻撃のため発振した捜索波(?)レーダー電波を探知しました。
敵のミサイルは、当然空を飛んで来るわけなので、対空戦闘用意を命じます。勿論、実戦ではなく訓練なので、「教練」を付けます。
ふた戦速、取り舵。敵に捕捉され難くするため、艦のスピードを上げ、進行方向も変えます。1=「ひと」、2=「ふた」と呼ぶのは、ご存知の通り。
追記3:「だいふたせんそー(く)う」とは、「第2戦速」です。Aパートラストの「両舷前進半速」も速度を示す用語。自衛艦の速度には、微速、半速、原速、強速、第1戦速、第2戦速、第3戦速、第4戦速、第5戦速、最大戦速、一杯といった速度段階があるそうです。
ミサイル・シーカー波ロック、敵のミサイル(か母艦・母機)の出すレーダー誘導電波に補足されましたので、放って置くと敵のミサイルが「みらい」に命中します。
シー・スパローは、対空ミサイルの一種の名前。比較的中近距離での対空迎撃い用いる。なお護衛艦「みらい」には、より長距離での迎撃に用いるスタンダート・ミサイルもVLS搭載されている設定。
イルミネーター・リンク、敵ミサイルを迎撃するため補足・追尾し続け、高速で飛行するミサイル同士が空中で命中する様に誘導するレーダーの一種(イルミネーター)と、迎撃ミサイルのシー・スパロー自体の間の接続をした。敵のミサイルに印を付ける意味で、イルミネーターというらしいです。
イン・レンジ、シー・スパローの有効射程内に入ったので発射します。
一発は迎撃成功したが、一発は打ち漏らしました 。
シーウスとは、CIWSの事。20ミリ機関砲を束にしたやつです。
EAは電子的対抗手段、妨害電波とかチャフなんかを用いて、敵ミサイルの誘導レーダー電波が、こちらを見失う様にするわけです。
ミサイル近体制で、敵ミサイル至近(命中)に備えよ=対ショック防御。
AAWオートで、対空兵装(アンチ・エアー・ウェポンか?
ウォーフェアーか?自信無し)自動発射します。コンピュータ制御で打ちまくります。
もうここまで来ると、例え敵ミサイルの迎撃に成功しても、爆砕したミサイルの破片が飛んで来て、味方の方にも被害が出ます。
でも残念ながら迎撃は失敗、敵ミサイルはみらい左舷に命中しました。
フレームは船殻(船画)ブロックで、第32区画にミサイルが命中し、爆発で破口が開き、海水が浸水しましたと言うこと。
ダメ・コンはダメージ・コントロールの略。応急修理して、浸水を食い止め、転覆・沈没を防止します。
その指揮をとる部屋が応急指揮所で、普通機関室の近くにあります。電気配電図や、火災報知器の表示盤がありますね。
なお他のシーンですが、SIFは敵味方識別装置。日米海軍は、現代では友軍ですので、呼びかけに応答が入るはずと思いました。
アイオワ級、ニュージャージー。第二次大戦中にアメリカ海軍が、建造した戦艦の名前。元々、大和に対抗するため建造されたが、諸般の事情で主砲は40センチ砲(大和は46センチ砲)なので、一対一で撃ち合うと負けます。
戦後も長く、現役・予備役を行き来し、最初の湾岸戦争には参戦。トマホーク・ミサイルの発射プラットフォームになった。
最後の戦艦種(BB)で、これらの後「戦艦」に分類される艦は存在しない(はず)。
追記1:CICは中央戦闘指揮所。艦の上部に突き出した艦橋で指揮をとると、命中弾を受けた場合に、指揮中枢が一気にやられるので、船体の中央部に電子的情報端末を並べた指揮所を設けてます。現代軍艦の特徴の一つ。
以上、色々間違いもあると思いますが、こんな感じの事のはずです。
一点、変な部分を見つけたのでそれも書くと。
Aパート最後の方のナレーションによると、派遣護衛隊群にイージス艦「はるか」「みらい」の2隻も含む点は疑問です。
しかも全4隻中なので半数も。デモンストレーションなら解るが、通常イージス艦は1グループに1隻が海自では基本。現状でも、4個護衛隊群に各1隻ずつ配属されてます。確か計画されたペルシャ湾への派遣隊にも、イージス艦は一隻だけ含む編成での予定でなかったかな?
追記2:ミリタリー系のページで拾ったネタですが。「右舷・左舷」は旧海軍から「みぎげん・ひだりげん」と読んでいたそうだ。ところが「宇宙戦艦ヤマト」や「ガンダム」等のアニメの影響で、新人隊員が「うげん・さげん」と言うもんで、改めて正しい読み方を教え直したそうです。
このアニメで、失地回復か?海自さんも力を入れる理由がありそうです。
なお原作では右舷に「うげん」とルビふってますね。

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